ひざに、お灸をすえたらどう?
家内がそう言って、
長らくやっていなかった「せんねん灸」を、どこかから出してきた。
箱を開けたら、以前の使い残しのお灸がたくさん入っている。
お灸の本も一緒に出てきた。
ひざ関節に効くツボは、どこかいな。
軟骨すりへっているのに効くなんてことはないぞなもし。
でも、やってみないと分からんでや。
かそかまあ当てにすな、ひどすぎるしゃっきんや。
やってみるべ。
ろうそくの、でかいのを立てて、火をつけた。
「せんねん灸」は小さなお灸、
貼り付けるところにノリが付いている。
一個をつまんで、火にかざし、点火する。
おっと、あちち。
小さすぎて、つまんだ人差し指が焼けそうだ。
お灸に火がつく。
ひざのツボは、指でクリクリ押したら痛みを感じるところ、
そこへお灸をぺたり。
ひざの周りにある、ちょっと凹んだ感じのするツボは5か所ほどある。
五つのお灸から、白い煙が糸のように上がる。
懐かしい、お灸の匂いや。
小さなお灸は、あっけなく燃え尽きた。
燃えて最後にきゅっと熱かった。
あんまり効きそうにおまへんな。
まあそれでも、続けなけりゃ効き目は分からへん、と家内が言うし、
残っているお灸を全部使ってしまった方がいいと思うし、
それでお灸のある分だけ続ける。
日本語教室の時、
ひざが痛いと、ベトナム人青年に言って、膏薬貼った脚見せたら、
どこそこの薬局で、グルコサミン割引セールで売っていたよ、
あの店ではいくら、この店ではいくら、えらく詳しい。
なんでそんなに詳しいんや。
聞けば、ベトナム人にもひざ痛や腰痛が多いから、ベトナムの知人に買って送っているんだと、
日本の薬は人気があるし、少々高くてもほしい、
ベトナムはまだ薬の製造があまりできていないのですよ。
それにしても、グルコサミンは薬ではないよ、サプリメントだ。
飲んでいるけど効かないという人がいる、
飲んでみたら効いているみたいという人がいる、
いろいろある。
お灸、効いているのか効いていないのか、
まだ分からない。
お医者さんは、筋力付けてひざに負担がかからないようにするしかないと言う。
だからもっぱら、夜寝る前に、脚を前に突っ張ったり、
横になって脚を上げたり下ろしたり、
上向いて自転車こぎですよ、両足を空中で300回、400回、
回転させています。
十月の白馬岳登山は、おじゃんになった。