市議会の報告会で思ったこと

 昨夜の安曇野市議会の報告会のあとは、後味が悪かった。市民の参加者も空しい思いが強かったのではないか。一方の議員たちはどう思っただろう。こういう会をやれば、議員への批判が出てくることは予想していただろう。批判意見は予想していたが、ある程度のガス抜きは必要だから、市民の意見をいくらかは聞き、市民と意見交流を行なったという事例をつくれればいい、というのが議長をはじめとする体制派議員たちの本音だったのだろう。
 昨日の市民の状況から感じるのは、議会と行政への不信感が非常に強いということだった。その不信感の強さを、市議たちはそれほど感じていなかったと思われる。
 「議員を侮辱した」と、議会の宮下議長が一市民の出した意見を批判する場面があった。その一市民が主張したのは、市議会での議員と市長との間で交わされる質問と回答が、一問一答で終わってしまい、問題点を追及し、究明することになっていないことを指摘したのだった。質問はしました、市長は応えました、はい、了解しました、それで終わり。そんな市議会ならないほうがまし、もっと市議は勉強してほしい、これがその市民の主張したものだった。
 新市庁舎建設の問題で、建設反対の意見を出した議員に、市長が「それは価値観の違い」と言って、終わりにしたという以前の出来事についても、市民の側から意見が出された。価値観の違いと言って論議も何もしないなら、すべて異論は「価値観の違い」で切って捨てて終わりになる。それこそ議会は要らない。そういう市長の姿勢を問えない議会なら、議会の存在意義はないと。
 平成26年度予算についても質問が出された。
 安曇野市一般会計予算総額は、439億6000万円。
 その予算の金の出所は、
 自主財源、すなわち市民からの税金は、予算総額の38パーセント。
 依存財源、すなわち国からの借金が89億800万円、地方譲与税が19億8100万円、合計62パーセント。
 国と県からの補助金は、55億5700万円で、13パーセント。
 一方、金の使い道のなかでの借金の返済が44億1200万円。
 借金が今後どうなっていくか、この点についての不安を、市議たちはどれだけ感じているのだろうか。そして市の未来をどう展望しているのだろうか。市長も議員も4年の任期が終わると、はい、さようならをすれば、後はどうなる。

 古い町村の首長や議員には、村の顔役という体質があった。ボス的体質も感じられる人が多くいた。議員の居住地区の地盤に利益誘導を議員はやらねばならない。そこに手腕が問われた。しかし、今、そういう議員では自治体は存続し得ない。市町村が消滅する危機に立っているところが増えている。
 五カ町村が合併した安曇野にもまだ、その体質が残っている。議員や市長にお任せしておけばよい、批判はしない。議員や市長も、市民のためにがんばるから、黙ってついてきてくれ、と言わんばかりの気風がある。
 その体質に風穴を開けようとしている数人の議員たちと市民運動につながる市民の動きが、じわじわと広がっている。その動きがこの報告会で姿を現したのだ。