3月23日 快晴

 


 夜明け前はマイナス7度ぐらいまで冷えていたようで、車のフロントガラスはまっ白に凍っていた。朝8時から区民総出の堰普請(せきぶしん)、要するに農業用水路にたまっている泥やゴミを取り除いたり、水路にかぶさっている草を刈り取ったりする。居住単位で分担しての作業だった。
 ここ数日、畦の野焼きも行なわれていて、煙が上がっている。
 非常勤講師を勤めている学校の卒業式が10時からで、それに間に合うように、作業を早めの切り上げて、スーツに着替え、車を走らせた。卒業生は16人、いろいろな障害にぶつかって全日制を退学したり中途転学したりしてきた生徒や、小中学校時代に不登校生徒だったりして、それらを乗り越えての今日の卒業だった。この3年間、勉強しようと思ったときにやってきた彼らに、教師たちはマンツーマンで教えてきた。
 これからの進路は、大学や専門学校へ行く子、社会に出て働く子さまざまだが、自立に向かって自分の脚で歩いていってほしい。自信をもって、誇りを持って、自分の可能性を引き出してほしい。

 午後は、春耕。スコップで土を天地返しする。スコップを畝の土に、足で踏んで深く突き刺し、土を持ち上げて上下を引っくり返す。芽吹いていた草は裏返って土の中に隠れてしまう。1メートル進むと息がはずんだ。長さ10数メートルの畝、午後二時間ほどで三畝すんだ。これで7畝完了、あと3畝半残っている。
 冬越しのホウレンソウが、ナズナや大イヌノフグリなど、芽吹いてきた小草に取り囲まれている。
 ホウレンソウ3株、夜の食事用に掘って帰った。