カブトムシの幼虫、また雪

 今日はまた雪が降っている。昨日までに道路の雪も融け、畑の雪も大部分融けていたのに。
 この春、家の西側の窓から入る真夏の日射を防ぐために、何か木を植えようと思っている。それで木の株を植え込む予定をしているところを、1メートル×2メートルほど、土を耕し、石ころを取り除いた。石の中にはバレーボールほどのものもある。木が育つにはきわめてよくない土だ。白樺ももみじも、植えてから6年ほどして枯れてしまったから、今度植える木は早く元気に育ってほしい。土をよくするために木のチップを大量に放り込むことにした。
 チップは、林業を営んでいる人の廃材置き場からもらってくる。できるだけ古いチップがいいから、野積みされている端のところに残されている古いものをスコップで掘り出す。木は針葉樹のようだ。チップは微生物によって黒く分解し、白っぽい分解菌がたくさん発生している。
 チップを掘り出していると、カブトムシの幼虫が、ごろんごろん出てくる。ぼくの親指より太く白い体、おいしそうに見える。10匹ぐらい出てきた幼虫は冬眠しているのか、動かない。チップは堆肥袋に7杯、持ち帰った。一緒に持ち帰った幼虫は、チップを土に入れるとき、安全そうなところへもう一度埋めてやった。成虫になって出てくるかどうか、ちょっと心配でもある。以前もそうしてチップにくるむように埋めてやった幼虫が、成虫になって出てきたのは見たことがなかったし、一度掘り返してみたとき、それらしい姿が見つからなかったからでもある。
 春に食べられるように冬前に苗を植えたキャベツが、ひどい状態になっていた。雪の下に押しひしがれて、ぺったんこになった上に、ヒヨドリかカラスかが、真ん中の成長点を食べてしまっていた。急いでビニールのトンネルをかけてやった。イチゴも惨憺たる状態、ここにも追肥してトンネルをかけてやった。これで昼間は温かくなるから、生長してくれるかな。
 そしてまた今朝は雪。道路もあちこち凍結している。朝のウォーキングパトロールにランと行く。小学生たちの登校ルートの途中まで歩く。一年生のアスカチャン、アオイちゃん、ルイちゃんは後ろにくっついてくる。
「すべらないようにね」
と言っていたら、こちらがすべってこけそうになった。
 アオイちゃんがルイちゃんに聞いている。
「しゅみはなに?」
「しゅみってなに?」
「好きな歌手とか」
「好きな歌手?」
 趣味を説明するのは難しいだろうな。趣味の意味もよく分かっていないだろうな。
 そこで、ぼくが参入。
 「わたしのしゅみはね、むかしは山登り、音楽をきくことだった」
 「えーっ」
 分かれ道が来た。
 「じゃあ、ここでバイバイ」
 「バイバイ」
 ウォーキングから帰り、燃えるゴミをゴミステーションへ自転車で持っていく。道路が凍っているところに注意して。帰り道、ヨシコさんの家の庭にヨシコさんの姿が見えた。
 「またまたよく降りますねえ」
 「降りますねえ」
 「聞きたいことがあるんです」
 「はい、なんでしょう」
 「このへんで、いい目医者さんはいますか」
 ヨシコさんも今眼科にかかっている。視力が落ちときどき疲れで痛みを感じるぼくの眼を一度診察してもらおうと思っているので聞いたみたら、二つの医院を教えてくれた。いいお医者さんへは患者も押しかける。
 「長い時間待たなければいけませんよ」
 「そうですかあ、飛び込みで診てくれますかねえ」
 「飛び込みで診てくれますよ」
 2時間は待たなければいけませんかねえ。
 「ごめんなさい、体冷えるのに、ではでは、ありがとう」