NHKニュースに取り上げられた望三郎君


 増田望三郎君の選挙活動がNHKニュースの全国放送で取り上げられた。NHKの意図は、ネット選挙の視点から、安曇野という一地方でもネットを駆使して行なわれたという点にあった。
 記者は望三郎君に密着して取材したが、放送内容はしぼられた。毎夜若い人たちが地球宿に集まって、一日を振り返り次の日の活動を画くミーティングの様子、いかに市民に望三郎君を伝えられるか、映像が伝えるそれは、毎日毎日支援チームから湧き出てくるエネルギッシュな活動のうねりであり、人間と人間が肌で接し、心で触れ合うものであることが察せられた。実際彼は、朝から晩まで市内を回って人に会い、人と対談した。
 NHKの放送の後、望三郎君と支援者の間で、あの放送と実態はどうだったのか、議論が起こった。

 望三郎君は考え込んだ。残念ながら、報道は実態を正しく伝えておらず、本質からはずれている、と。これは誤解を与えるのではないか。何十人もの支援者たちも、望三郎君も、足で歩き肉声を発して市内を回り市民に語りかけた。若者も高齢者もともに動いた。それがこの陣営の本当の姿だった。
 だからNHKニュースを見た望三郎君の最初の意見は、次のようなものだった。

 <活動の中心は地に足のついた、身体を使った活動です。みんながリーフレットをすごい勢いで配ったり、保育園を回りママたちに直接呼びかけたり、地元のみなさんが地元のみなさんに投票依頼するなど、ネット選挙などではなく、従来型の草の根選挙だった。安曇野を真剣に考えている年配者と若者の結びつき、移住して来た者と地の方々との結びつき、若手世代の新たな結びつきなど、お互いに理解を深め合いながら活動できたところが素晴らしかった。>

 そのようなベースのうえに情報伝達として望三郎君はネットを活用した。
 放送を見て彼は懸念する。それは、支持者にはネット好きの若者支持者が多いんだ、ネットを使って支持を広げたんだ、となることだ。全国の同じ志を持った若者たち、地方を真剣に変えようと考えている人たちに、「ネットを活用すれば地方選で勝てる」という誤解が広まることだ。
 望三郎君の支持者には、安曇野の美しい自然と暮らしを守ろるために、懸命に応援する果樹農家がいる。若い世代・新しい人たちに安曇野を創っていってほしいと願う年配の方々がいる。地元に溶け込み根づこうとしている移住者の人たちがいる。この地を子どものふるさとにしようと生きているパパやママたちがいる。遠かった政治に関心を持ち始めた若い世代がいる。そして大人たちの姿を見つめている子どもたちがいる。

 <そんな人たちがお互いを知り、受け入れ合い、融合が始まったことがこの選挙の本質でもあったのです。>

 望三郎君の思いを知って、群馬の先輩から励ましが来た。
 マスコミは「結論に当てはめる取材」をする。慎重に考え抜いて話しても、「真意が理解されない」ことが多い。群馬の先輩は、選挙カーうぐいす嬢のレポートに増田陣営の集約を見た思いがした。

 <お年寄りをみると「声を低めにゆっくり」、子とも服が干してある地域では「張りのある高い声で」と言うのがありましたが、初めての選挙でそこまで考え抜くのは素晴らしく感動で涙が出そうでした。
 選挙は総合力です。「人間力」です。情熱のある人間が集うことが勝利の方程式。そして何と言っても候補者の多くの人を引きつける情熱と人格が大事です。
 ネットも重要、草の根も重要。みんなの総合力で勝利したことは間違いないことです。議員としての活動に期待しています。>

 選挙活動をした人たちは、それぞれ自分に何ができるか考えてチャレンジした。そして看板はどうする、ポスターは?と知恵を出し合った。選挙公報の文面もみんなが意見を寄せ合った。選挙カーも総合力だった。
 減農薬でリンゴをつくっている中村さんと病気上がりの元教員の片桐さんは高齢者だ。二人はチームを組んで朝から山麓を歩きながらリーフレットを入れて歩いた。高齢者のぼくも700軒近くリーフレットを配った。果樹園地帯の中に建設されたゴミ産廃施設の反対運動を闘ってきた農家の人びとは、徹底して市民の側に立つ議員を生み出さねばならないと考えてきた。望三郎君を当選させることは解決への重要な一歩になる。
 選挙活動にたずさわった一人ひとりのチャレンジは、自分の枠を突破することに役立った面があるだろう。そして、選挙活動を通じてつながり、安曇野という地域を見つめただろう。自分の中に未来の安曇野像を描くきかっけともなっただろう。
 NHK ニュースはネット選挙の視点から放送したものではあっても、映像から垣間見えたものがある。それは、どういう人たちが、どんな志をもって、どんな生き方を現しているかを考えさせるものだった。望三郎君の演説にもそれがにじみ出ていたのではないか。選挙を創っている若い仲間の姿からも感じられたのではないか。
 次のような意見があった。

 <市議会議員選挙のような地縁、血縁、組織の影響が大きい選挙で、無名に近い候補が上位当選を果たした事実について、NHKはネット選挙の威力を強調したかったのではないか。条件が無いと絶望的な地方議会の選挙でも、政治家を目指す若者に一縷の光明を与えた。
 一人の気持ちを投票行動にまで到達させるのは容易ではない。今回かなりの有権者に対しネット選挙の効果もあったのではないか。今回ネットの動機のみで投票してくれた人達とコンタクトとりたい。>

 選挙は、総合力であり、人間力だ。そこに情報伝達の手段が加わらないと選挙活動は拡大しない。地盤も組織も資金もない新しい人が、立候補したとして、その人がいかに志高く有能であっても、後援組織も情報手段も持たなかったら、票を獲得することは至難の業だ。
 安曇野市は、村社会が未だ根強く残っている地方である。「おらが村」の議員は、「おらが村」の代表であり、「おらが村」のための功労者だ、そういう村社会から一歩も二歩も踏み出し、安曇野市政のために理想を描き、理念をもって、社会づくりをしていく議員、市議会の中にそういう議員を増やさねばならない。
 望三郎君は、みんなの意見を聞いて、自分の意見をまとめ、ネットで録画を発表し、次の一歩を踏み出している。http://youtu.be/sEG7TasQ-Rs
 NHKのニュースも、今後に向けての貴重な報道になった。
 選挙は終わった。望三郎君は議員になっていく勉強を始めている。政治家へ、本格的な始動である。