稲刈り

 秀さんが隣の田んぼの稲刈りをした。コンバインが移動しながら、コンバイン幅の数列ごと稲を刈り取り、タンクにいっぱいになると、農道に止まったトラックに長い筒を伸ばして、もみ米を積み込んでいる。
 「今年は猛暑だったもんで、例年より田植えは二週間おそかったが、稲刈りは一週間早くなっただ」
 生長がそれほど速かったのだ。
 「新米が食べられますね」
 「ええ、食べられますよ」
 当たり前のことだが、新米のおいしさは格別なのだ。新米のご飯は、特におかずがなくてもそれだけでおいしく食が進む。
 我が家は秀さんの米を食べている。玄米で購入して、家で精米している。炊飯器ほどの小さな精米機は簡単な操作で精米してくれる。最近は5分づきで食べている。以前は7分づき米にして焚いていた。

 市民の声を聴く政治を! 市政を変えよう! 政治に若い力を入れよう!
 今この動きを、安曇野全市で展開している。望三郎君が立ち上がり、若者、ママたち、壮年老年も加わった支援者が続々と運動に加わっている。
 朝5時から自転車に乗って、リーフレットを一軒一軒ポストに入れ、それから自分の仕事に出る人がいる。一軒ずつ回りながらゴミ産廃処理施設の危険を訴えている人がいる。
 ぼくも自転車に乗って出かけた。
 住宅地の中に、小さな田んぼが三方家に囲まれている。そこで稲刈りしている老夫婦がいた。100坪に満たない田んぼに、小さな小さなコンバイン、旦那がそれを運転している。収穫したモミ米が袋に入れられ、軽トラックの荷台に積まれている。5袋ある。こんな小さな田んぼでも、二人が一年間食べる分は採れるかもしれない。
 旧村エリアには大きな屋敷がある。土蔵がある。
 新興住宅地の外れまできたら、自転車の後輪の空気が抜けているのに気づいた。パンクしたか、空気が抜けたか、乗るとガタガタ尻に応える。これではポスティングは歩いて回らなければならない。どこかで空気入れを貸してくれる人はいないかな、と思いながら見つからず、自転車を押しながら坂道を上がっていく。どこの家にも人影はない。家の中の人に声をかけるのもどうかなと思い、結局家まで自転車を押して帰って来た。
 空気入れで空気を入れた。タイヤは硬くなった。次は南の集落へ行く。