暑さ対策に木を植えよう

 西日の当たる居間の午後は、室温はどの部屋よりも高くなり、とてもそこにいられない。風の通る外の日陰のほうが気温が低く、できるならば椅子を外に出してそこに座って読書をしたい。ひょいと、中国や東南アジアの風景を思い出す。家の前に椅子をだし、往来を眺めながら憩っている人の姿を。やることが次々あって忙しい自分の暮らし方とは異なる別次元の暮らし方が、中国や東南アジアの庶民にはある。
 この夏に思いついた。西側に落葉樹を植えて日差しをさえぎろう。家を取りまく屋敷林が安曇野のあちこちにある。そこはたぶん何度か温度も低いだろう。西と東に落葉樹を植える、どうして今までそのことに思いが至らなかったのかと思う。
 ここに来て8年目になる。西の常念山脈に落ちていく西日のすごい威力を防ぐために、ゴーヤを植えてグリーンカーテンにし、すだれも吊るしたが、ゴーヤの種まきが遅かったために、茂り方はまだ足りず、西日はあいかわらず強い。これまでこの方法で、夏の暑さをしのいできたが、今年の暑さには参ってしまう。やっぱり緑の木陰がいちばん涼しい。桂の木か、夏ツバキの木か、窓への日差しを防ぐ手ごろな茂りをもたらしてくれる木を植えよう。だが苗を植えてもすぐに大きくはならないから、完全に西の窓への日差しを防ぐまで育つにはまだ数年待たなくてはならない。まず今年中に植え穴を掘ろう。石混じりの、有機物なしのひどい土を直径2メートル以上の大きさで掘りだし、堆肥と分解した木屑をたっぷり入れよう。根がしっかりはれるように、準備をして植えよう。
 暑さとともに水不足という問題がある。少しの雨水も利用しようと、まず工房の雨どいの水は、庭に引き水するようにしている。母屋の屋根の雨水も利用しようと縦どいにホースをつなぐ計画をしているが、まだ実行に移していない。キュウリ、ナス、インゲン、ピーマン、シシトウなどの畑が水をほしがっている。一輪車にタンクを積んで、100メートルほど水汲みにいく。用水路の山の水は冷たい。3、4回往復して水を汲み、野菜と今年植えたブルーベリーの苗にそそいでやる。
午後から夕方までは、たまらないほどの暑さだが、日が沈んでからは気温は下がり、夜になると快適になる。窓を開けたまま寝ていると朝方、寒いくらいだ。
 息子家族が野菜をいっぱい持って今朝帰っていった。長男家族は神奈川へ、次男家族は神戸へ、孫たち4人の、響き渡っていた高い声はもう聞こえない。夕方、それぞれの家に帰りついたという連絡が入り、そこはとてつもない暑さだと訴えていた。セイタロウと一緒に作った木の模型、クワガタムシ。パパがザックに詰めて持って帰った。ところが木の枝をくっつけたクワガタムシの脚が折れてしまった、と言うことだ。セイタロウよ、パパといっしょに修繕して、二学期に学校へ持って行くんだよ。

 「あづみのひかりプロジェクト」の福島の親子保養ステイでは、今日子どもたちは病院で甲状腺の検査をしてもらっている。親たちの希望でそうなったそうだ。福島でも検査してもらっているが、長野でも検査してほしいというのは、根底に不信感があるからなのだ。