福島の親子保養ステイのキャンプ

 福島の子ら、何をしているかな、と午後に「どあい子ども冒険くらぶ」のキャンプ場へ行った。黒沢川自然公園の駐車場に着くと車が1台もない。ははん、どっかへ出かけているのかな、と思いつつ、耳をそばだててビオトープの池のほとりを上がっていくが、子どもたちの声は聞こえない。10張りのテントが並んでいるのが上方に見えてきた。やはり子どもたちの姿がない。どこかへ出かけたようだ。コブシの大木の下に、犬のシロがつながれ、その下のテント場の端に大浜隊長の姿があった。子どもたちが親しみを込めて呼ぶハマ隊長は、デッキチェアに座って少しうつむき加減のまま動かない。寝ているな、疲れて休んでいるな。近づいていくと、ハマは頭をあげてこちらを見た。
 「ああー、ちょっと寝ていた」
 「起こしてごめん、寝ていてください」
 「いや、あとかたづけしなきゃ」
 ハマ隊長、疲れるのも無理はない。夏休みに入って、まず地元の小学生や常連の参加者による冒険くらぶのキャンプを行ない、つづいて福島の子どもたちを「あずみのひかりプロジェクト」で受け入れて保養キャンプを実施している。
 「子どもたちは、親と一緒にワサビ園に行きました」
 保養ステイは17日に始まり、明21日に終了して親子は福島に帰る。今日は午後に観光し、夜は地球宿で過ごす。夜のパーティには安曇野ジャグバンドが登場し、安曇野賛歌を歌う。
 子どものいなくなったキャンプサイト、ハマさんは、うとうと眠っていた。どあいのキャンプは終わった。ご苦労様、疲れたでしょう。
 「さっき、サルの軍団が上の方からカボチャをくわえて、下のほうへ走り去っていきましたよ。畑を荒らしてきたみたい」
 犬のシロがいたけれど、リードでつながれた犬であることをサルたちはよく知っている。へっちゃらでキャンプ場を走り抜けていった。
 「あとかたづけ、手伝いますよ」
 キャンプ場はまだ片付けが始まっていない。
 「じゃあ、寝袋から始めましょう」
 子どもたちが使った寝袋、かなりたくさん借りてきたものが混じっている。くるくる巻いて、紐でくくる。椅子に使った農作物のコンテナは簡易納屋に入れる。
 10張りのテントの半分は、今年リサイクルショップで購入したという。
 「一張り1000円というのもありましてね」
 そのテントも有名メーカーのもので、こんな優れものがリサイクルで出ているのだ、と改めて驚く。
 「テントをたたむのは明日にします」
 働き者のハマ隊長、明日の午後から福祉の仕事にもどる。キャンプ期間が長かったから、この夏はその仕事を休んでいた。
 キャンプ場の下に一枚の田んぼがあり、そこはハマ隊長が作っている。この田んぼ一枚で米は3人家族一年分が採れる。働き者ハマはさらにもう一枚そこより離れたところで米を作っている。