福島の親子保養ステイ


 「あづみのひかりプロジェクト」が準備をしてきた福島の親子保養ステイ・プログラム。今年は、福島からの親子21名を迎えて、17日から4泊5日の日程で始まっている。「安曇野地球宿」と「洞合(どあい)子ども冒険くらぶ」が舞台だ。
 地球宿の望三郎君から、
 「昨年の参加者が5家族帰ってきてくれて、1年ぶりの再会です。子どもたちもしっかり覚えてくれていて、バスを降りるなり、僕に抱きついてくる子供もいました」
とメールがとどいた。そこでぼくも昨年に続いて子どもたちと遊ぼうと、午後に車を走らせた。
 2日目18日(日)の午前は、地球宿の畑でジャガイモ収穫をしたそうだ。
 午後、ぼくが洞合自然公園の「どあい冒険くらぶ」キャンプ場に到着すると、すでにテントは整然とはられていて、大浜隊長がキャンプ生活の説明をしているところだった。参加者のなかの親と子どもたち何人かの顔は見覚えがある。1年たつと子どもは大きく成長するものだ。
 その後、川遊び組と虫取り組、自由遊び組に分かれて子どもたちは遊んだ。昨年来た子らはふるさとに戻ってきたかのように元気に遊ぶ。それが終わると、黒沢川ほとりに設置された二つのドラム缶風呂に入る。これがまた愉快。一つのドラム缶に、素っ裸の子ども3人が入って、大浜隊長がその子らに水をバケツで浴びせかける。
 昨年も参加した親、祖父たちは、ゆったりと安心して、子どもの自由な遊びを眺め楽しんでいる。
 引率してきた祖父の一人とキャンプ場の椅子に座って話した。福島の様子は、やはり深刻なものだった。除染はいっこうに進まず、放射線の被曝もきわめてあいまいな状態にある。子どもたちに将来、甲状腺がんの恐れがあるがそれも大丈夫だという学者と政府関係者、その反対に将来どのような結果が待ち受けているか予測が出来ないという深刻な危惧をいだく学者がいる。

 国家がすすめてきた原発プロジェクトの事故であるにもかかわらず、被害者は救済の道が閉ざされたかのような状態にある。
 行政、企業、国家はまたしても被害者を切捨てようとしているという、祖父の不信感が切々と胸に迫ってきた。