秋に市長選挙と市議会議員選挙がある

 最近、二人の人の訪問を受けた。市議会議員に立候補するからよろしく、と地元の人と一緒に挨拶に来られた人だった。ポストの中に立候補の挨拶状を投函していった人もいる。いずれも今期初めて立候補する人たちだった。今回新しく立候補する人たちのうち4、5人は、元市役所の職員である。市役所の幹部になって退職し、そのあと天下りで、系列の組織や別の団体に職を得、数年そこで勤務してから、市議会議員に立候補するというコースを歩んでいる。この人たちの自己紹介の欄に、経歴と肩書きがずらずら並んでいる。地方の役所の出世コースの典型である。その人たちは、市役所職員であったとき、どのようなビジョン、目的、考えを持ち、どのような使命感で仕事をしたか、その仕事の質は市民に何をもたらしたか、そして市議会議員になるというのなら、どんな現状認識・問題意識をもって臨もうとしているのか、それがぼくにはどうにも疑問に思えてならない。この数年、市民運動に参加して、行政と市議会の実態を見てきた自分には、この人たちは、地元の有力者として地元の人脈を使い、三度目の天下りとも言える名誉ある職を得ようとしているに過ぎないのではないかと思えてならない。そうではない、今の市の情況を憂えて、自己を投げうって改革をしたいという人がいるなら歓迎だが‥‥。
 地域ボス・有力者とも関係なく、利害関係もない、市民とともに歩み、市の未来をみんなで創っていこうとする、そういう市民こそ立候補してほしい。しかし、実態は困難なのだ。仕事を持っている人が仕事を辞めて、議員に立候補する冒険には踏み出せないのだ。この日本の現状を憂え、危機意識を持った人たちが止むに止まれぬ思いで立候補しても、国会議員の選挙では結局落選していった。この地方の選挙はなおさら旧態依然としたボス政治だから、やはり新人は出てこない。
 という思いにかられていたとき、青天の霹靂、そのような情況だからこそ立ち上がるのだと、彼が意を決した。
 明日、彼は自分の意志をみんなに表明するという。まずそれを聞こう、待ち望んでいた多くの市民運動の仲間とともに。