ねむの木の花咲く

朝5時、西空に雲あり、虹がかかっている。降り残した雨粒が飛んでくる。
晴れ間は広がってきた。
夜明け前に一雨降り、さわやかな気が香る。思わず深呼吸した。
去年の三月からはいてきた運動靴に穴が開いた。外反母趾のところが当たって布が破れている。
靴下をはかないで、素足に靴を履くと、足は靴になじんで、靴下を履くよりもきもちがいい。ぼろ靴は足の一部になっている。
新しい運動靴に履き替えるときは近いな。セールで買った新しいランニングシューズが後に控えている。履く時が楽しみ。
合歓(ねむ)の木の花が咲いていた。
ノウゼンカズラも咲いていた。
我が家の庭の、八重のバラに小型カナブンが入りこみ、花を食べている。
小花はたくさんついて、いい香りを漂わせ、それがカナブンを引き寄せる。ミツバチや花アブなら、花を食べないが、カナブンは花の芯まで頭を突っ込んで食べる。食べられた花は無残な姿だ。
ここ数日、つるバラを這わせる木の棚を作っている。巌さんが薪用に持ってきてくれた、解体した小屋の梁と柱の廃材がリサイクルして棚になる。良子さんにもらった、稲のハザも棚の柱になる。新しく植えたつるバラは3本。
巌さんが、コーラスの練習日を知らせに来てくれた。
「ほれ、あの木、役に立っていますよ」
ぼくが造作中の廃材を指す。
「考えがあるから、廃材も生かされるんですよ」
巌さんは感心している。
「完成したら、上によしずを載せて、下でバーべキュウでも」
「じゃ、私材料をもってくる」
わっはっはっは‥‥。
午前8時を過ぎると、気温は急上昇だ。
学校もエアコンなし、暑い。
スクーリングはマンツーマン、八ヶ岳の向こうから通ってくる女の子と読書談義をした。
「この夏、本を読もうよ。今どんな本を読んでる?」
「サスペンス」
「最近の作家?」
「はい」
「そうかあ、それもいいけど、定評のある名作も読んだらいいよ」
それから話はいろんな作品の話から、昆虫の話、山の話、怪談、アンネの日記と広がり、気がついたら一時間が過ぎていた。
夜、フジヤンから電話があった。22日朝大阪を発ち安曇野へ行く、常念岳から槍ヶ岳のコース、天候次第だが予定通りチャレンジするという。
ぼくはスクーリングがあるから見送ることにした。ちょっと複雑な心境だ。