7月8日(月)、午後1時半、現地集合。
9年の長きに渡って闘ってきた産廃施設反対の運動である。
行政は業者の側に立っているかのごとく、住民の声に耳をかたむけて事態を解決しようとはしてこなかった。市議会も同じだった。恐るべき行政の怠慢、いや怠慢というようなものではない。意図的にこの市民運動を邪魔者扱いしてきたのだ。
市民は、止むに止まれず裁判闘争に訴えるが、相手は反訴の動きに出て対向しようとする。
ここに来て住民は、デモという直接行動に出た。事実を前にして、事実を見て、事実に訴えようではないか。
集合場所は、産廃施設の隣にある、地元産の果物直売場前だった。
デモ出発。山麓線を行く。警察官二人が警護でついてくれた。
ゴザを使ったむしろ旗に墨で書かれた「訴」の文字は迫力がある。昔の百姓一揆の強訴は本物のむしろ旗だった。
先頭を行く若い男たち、シュプレヒコールが森にこだまする。デモだとか、シュプレヒコールだとか、この地の人にはなじみのないことだろう。それでも老人たちのなかには、若いころに経験した人もあろう。
安曇野の西部は山岳地帯。その麓を走っている道路は山麓線と呼ばれている。安曇野市の中央を南北に走る幹線道路は、国道147号線と広域農道がある。そこと比べると車の数は少ないが、それでも観光客はこの道路をよく使う。
産廃施設は、この山麓線沿いに作られ、大型車両がゴミを搬入する。
住民の意見を聞かず、住民の意思を無視して強引に、農業地帯のなかにゴミ施設を建てるということは、ヨーロッパを初めとする環境を重視する国々では考えられない暴挙であろう。そのことが認識されていないのが不思議である。
施設の周囲をデモ行進した。車で通行する人は、不思議な光景を眼にした思いだったろう。
今はこのあたり、桃畑とリンゴ園が集まっている。ブルーベリー園は、6月末から収穫時期になっている。
施設の前で集会を開いた。
今日は、猛暑という天気用法で、飲み物を用意し、麦藁帽をかぶってきた。飲み物はスポーツドリンク。暑さは、家にいる時よりも過ごしやすかった。やはり森の木々と果樹園の木々のもたらすものだろう。何度か低い。それに雲が出てきたおかげで、集会もデモも、暑さでぐったりということもなかった。
集会で、何人かの人たちが発言した。地元の区長、近隣の住民の窓も開けられないという人、福島から移住してきた人、裁判を担ってくれている弁護士、他府県で市民運動をしている人、みんなこの運動の解決に向けての決意を語った。
長年、教育運動やダム建設反対うんどうなどで活躍してきたkさんの姿が見えた。大丈夫ですか、と問えば、昨日まで体調が悪く、今日は少しましだからカメラを持って出かけてきたとのことだった。まだ顔色がよくないし、足元もあやうい。それでもデモに参加した。昨年、臨死体験をしたというkさんの意地だ。
デモがあると聞いて、産廃処理業者は今日の稼動をやめているようだった。出入り口にもガードが設けられている。
最近問題となっているコンクリートの擁壁。臭気や粉塵、騒音を外部に出さないようにという意図なのか、しかし4メートルほどの高さがあり、ブロック塀並みの薄さだ。大地震が起これば倒壊する恐れが十分ある。行政への業者の申請と事実とは異なっていることが明らかになってきている。それにもかかわらず、行政は認可した。今日に集会でも、多くの人が口にしたことは、行政は信頼できないということだった。
現地見学を終えて、現地解散になった。今日の参加者、何人ぐらいか、2、300人ぐらいだったろうか。若い人、女性がよく目立った。外国人の姿もあった。