キジのニュースが掲載された


 「キジの記事が、市民タイムズに出てるらしいよ」。
 朝、ゴミステーションに行くと、宮田さんがそう声をかけてくれた。大友さんがゴミ出しに来たとき、そう言ったとのことだ。
 やっと記事が出たんだ。
 取材に来た記者は、キジのヒナの記事を掲載する予定を組んだところ、県の野生鳥獣対策室課から、「ヒナは担当課でひきとって育てて放鳥する、記事はできるなら掲載しないほうがいい」、と言われたとか。詳しいことは分からないが、行政としては、野生の鳥の卵を捕って帰って、それをかえして育てることは法にふれる、ということだ。今回のぼくらのケースは、親鳥が狐にやられ、卵をそのままにしていたら、カラスに食べられるか、死んでしまうと判断したからだが、理由がどうであれ卵をもって帰り孵化させたことがニュースになると、野生保護の筋からすれば、ちょっと具合が悪いというのも理解できる。
 「市民は、キジの卵を救って命を育てた」、「その一連のできごとを核にして市民たちはキジでつながった」、そのことは否定すべきことではない。むしろ価値あることだ。しかし、野鳥保護のたてまえからすれば、法にふれることになる。新聞記者は、キジの記事を新聞に掲載するかしないか、悩んだだろう。報道の自由は侵されない。どういう記事にするか、考えた。だから、掲載予定日から一週間も経ってしまった。
 記事は一面のトップに載っていた。
 「住民の絆が育てたヒナは、行政が委託する専門農家で育て、放鳥される。住民は協力してキジの卵を守った」
 見出しやリードは、ニュースの核心を突いている。

 今日は末広会。みんなで食事をしながらお話を楽しむ。綾子さんが、そっと市民タイムズをぼくの前に置いていった。一面にその記事が出ていた。

 庭に変わったチョウを見つけた。模様がおもしろい。なんという名前だろうか。