春の雪

去年の秋の子ども会サツマイモ収穫。




 朝方、トイレに行くと、窓の外が白かった。雪だ。昨夜みぞれが降っていた。それが雪になったのだ。チューリップの花も咲き、ライラックのつぼみもふくらみ、野菜が芽を出している。25度まで気温が上がった日もあったここ数日から急転直下の寒気だ。湿度の高い雪は重く、芽吹いているヤマボウシに積もって枝をしならせ、ちょうど満開のスイセンクリスマスローズ、ヒヤシンスは、無残にもぺちゃんこに押しつぶされて雪の下に埋まっている。
 使い古されたシュロ箒の長い竹の柄をにぎって、やわらかいシュロの刷毛で、雪をかいてやる。倒伏していたスイセン、ひどいねえ、起きな、起きな、と起こして回ったが、だいぶ傷めつけられている。木の枝の雪もゆさゆさ落とす。
 傘を差して朝の散歩をしていた床屋の香山のおばちゃんに会った。
 「まいりましたねえ、この雪」
 「ほんと、びっくりですねえ」
 「野菜、大丈夫ですかねえ」
 「キャベツやレタスは、大丈夫ですよ」
 「レタス、だいじょうぶですか」
 「キャベツは冬を越しますから大丈夫ですよ」
 サニーレタスと普通のレタス、苗が根付いたところだったから、気になっていた。香山のおばちゃんは、昨年ネギ苗をたくさん一輪車に乗せてもってきてくれた。
 「私もよく分からないけれど、大丈夫だと思います」
 おばちゃんは、すたすたと歩いていった。
 雪は昼までつづいた。湿雪は融けるのも速い。屋根からどたっと音立てて落ちる。枝の雪も水滴になってしたたりおちる。
 この26日に、地区の子ども会育成会の役員総会を開き、今年一年の行事について話し合う。そこで思いついたことがある。去年、6月にサツマイモの苗を、子ども会の親と子で植えて、10月に収穫した。レンゲプロジェクトとの共催だった。今年は、それを発展させ、親子菜園にして、自分の好きな他の野菜も栽培することにできないだろうか、農園主の斎藤さんと相談してみようと思う。