今日は少々疲れた

 今日は少々疲れた。午前は講師をしている通信制高校の卒業式だった。卒業生は15人。3年間で卒業できる人、4年かかった人、5年目の人、一人ひとりの生活があり、そのなかで、スクーリングの規定時間を出席し、レポートをこなした生徒たちだ。全日制高校をやめて移ってきた生徒がほとんどだ。その人それぞれ事情があり、挫折があり、高校卒業の資格をとりたいと願ってきた生徒たちを、校長は式辞でたたえ、誇りを持ってほしいと訴えた。校長の話には、力があった。自らのガンという病を克服してきた体験を語り、生徒たちのかかえる問題に重ね合わせた話は印象深かった。ガン闘病で、ある寺を訪れたとき、住職から「一日一生」という話を聞いて感銘を受けた。今日一日を一生と思いなさい、一日一日を一生と思って生きなさいと。校長はその言葉を生きてきた。そしてもう一つと校長は、イギリスの冒険家の言った、「他の人と自分を比較するのではなく、昨日の自分と今日の自分を比較しなさい」という言葉を生徒たちに送った。
 式が終わったところで、ぼくは一人ひとりと握手を交わし、励ましの言葉を送って別れを告げた。身体の筋肉が衰えていく難病を抱える聡君に、「自分のできることで、自分を活かしていこうね、君自身を何かに活かすことで、病を超えていけるだろうから。そのうち医学も進歩するよ」と言うと、杖を突く彼の顔はほころび、実にうれしそうだった。聡君は式の中で努力賞を受けた。
 午後は、穂高の「みらいホール」で、「早春賦誕生100年記念、プレ祝典の集い」だった。この1月から練習をつづけてきた合唱を発表する。合唱団は名づけて「早春賦誕生100年記念合唱団」。早春賦を作詞した吉丸一昌大分県臼杵市出身、吉丸の人生を振り返りながら、吉丸の作詞歌を歌った。
 歌は、「夕の鐘」「夏野」「浦のあけくれ」「きもちいいね」「早春賦」、そして「安曇野に寄せる心の歌、作詞コンテスト入賞歌」。ステージの上でぼくは、心を解き放して歌った。周りの人の声がよく聞こえた。
 集いの中身は多彩で、早春賦を世に広めたNHKの「名曲アルバム」ディレクターのトーク、および「早春賦」の軌跡を描いた映像の発表もあった。
 夜、日本語教室。今日の午後、三郷公民館で行われた「外国人による弁論大会」に中国人のトーさんとオーさんが参加してきたから、そのスピーチを発表してもらった。二人は全部暗記していた。トーさんは「私の春節」、オーさんは「日本語の力」というテーマだった。内容は具体的で、よくぞこれだけ話せたものだと、そこにいた教師たちは賛辞を惜しまなかった。その後はベトナムのトー君を個別指導した。
というわけで、今日は少々疲れた。