夢うつつの頭に浮かんでは消える二本の道があった



 朝方、夢うつつの頭に、浮かんでは消える二本の道があった。眠りながら考えていた。
 1945年の敗戦をゼロ年とし、それから今年の2014年まで数えると69年になる。
 次に、明治維新のゼロ年を起点にして、そこから同じ69年を数えた。すると1937年だ。このふたつの道を頭の中で図にしていた。
 1945年の敗戦から、戦後の国づくりが始まった。憲法が公布され、日米安保条約の制定があった。平和運動労働組合運動は盛り上がり、水俣を初めとする公害の激化とともに公害反対闘争が熾烈に闘われた。冷戦のなか、日ソ共同宣言や日中国交正常化日中友好平和条約締結もあった。
 戦後日本を貫いていたのは、高度経済成長と原発推進だった。日本は経済大国になった。
 起点の1945年から50年後、阪神大震災が起こった。その3年後に、金融ビッグバンが始まったのだ。つづいて起こった東日本大震災は、66年目のことだった。
 次は二本目の歴史。
 では、明治元年を基点にすると、どんな歴史が刻まれていたか。
 6年もたたずして、自由民権運動が起こり、国会開設運動が始まった。日本の公害の原点、足尾鉱毒事件が起こったのは12年目だった。明治憲法が発布されたのは21年目、初めの30年間に、日清戦争三陸地震と大津波足尾鉱毒に反対する農民運動が起こっていた。
 つづいて日露戦争の勃発、韓国併合大逆事件第一次世界大戦、50年目に米騒動が起こった。
 日本を貫いていたのは、富国強兵政策だった。
 やがて、日本共産党の結成、全国水平社創立、日本農民組合が生まれた。
 そこに起きた関東大震災は東京を焼き尽くした。55年目だ。
 61年目、世界大恐慌が襲う。
 その2年後に満州事変、4年後、またも三陸津波、そして69年目の1937年、日中戦争が起こった。日本は敗戦へひた走る。全国に無差別大空襲がなされ、原爆が炸裂した。日本は焦土となった。
 寝床の中のぼくの頭に、二本の69年の歴史が並んでいた。この二本、似ているなあと、おぼろな頭がつぶやく。
 二本目の道、これからどうなるだろう。