信州自遊塾のソバ打ちで「樹木葬自然公園&子どもの森」構想を話し合い


 信州自遊塾のソバ打ち会が地球宿であった。子ども連れも含めて20人ぐらいが集まった。元大学の学長の中野さんがソバを打ち、タカオ君の奥さんのヒサミさんが一緒に料理する。ソバのイタリヤーノ、かもなんばん、次から次へと出てくる。
 ぼくは、望君に誘われて初めて参加した。「樹木葬自然公園&子どもの森」構想をここで伝えるといいよ、というわけで。
 集まった面々は、それぞれ個性的な生き方をしているサムライだった。森づくりをして草笛を吹くSさん、ベトナム戦争枯葉剤から生まれた除草剤は使わないぞと有機農業に打ち込んでいるNさん、保育園の子どもたちが丸かじりできるリンゴづくりにとりくみ、産廃施設の不正をただす運動を担っているNさん、昨年臨死体験をした安曇野の写真集を出しているKさん、聖路加病院の100歳を超えた日野原さんが松本でつくっている「いのち森」に関ってきた人、アイガモ農法のタカオ君、元高校と大学の教師をしてきたが今は俳句をやっているというMさんは、これまでの住居の移転は数えられない、反原発の運動にもかかわっている。彼は3.11後に作った俳句を紹介した。
      梅真白我も哀しき傍観者
 「樹木葬自然公園&子どもの森」構想を紹介する時間をつくってくれたので、話をさせてもらった。反響はおおいにあり、今後が楽しみになった。
 今日皆さんには改訂版を配った。
    
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  <命の森づくりの構想>

 一市民からの提案です。

<故人は樹木に生き続ける>
 この構想は、故人の霊が樹木に生き続ける「樹木葬自然公園」と、その隣に多種多様な生物がすみ、そこで子どもたちが遊び、学ぶ「子どもの森」を創ろうという構想です。死は断絶するものではなく、連綿とつづく生命の森です。
 「樹木葬公園」とは、公園に希望する樹を1本植え、あるいは既に公園にある樹を1本選んで、それを故人のメモリーにし、故人はその樹に眠ります。墓石はありません。樹木が墓標です。故人の霊は樹の幹に枝に葉に花に生き続けます。樹は自分が生きている間に選んで植えてもよし、故人の家族が選んでもよく、遺灰は樹の根方にいくらか埋める方法と共同墓所に埋葬する方法とがあります。

 <生命の満ちる森>
 「樹木葬自然公園」には、暗い寂しいイメージはありません。小鳥がさえずり、花々が咲き香り、故人の家族、友人、知人は、森に眠る故人の木に会いに来て、公園の森に癒されます。隣接する「子どもの森」には小川が流れ、野生生物が生息し、生命の循環するビオトープがあります。カブトムシやクワガタ、ホタル、チョウ、ヤンマなどの昆虫や、魚、水生動物が住む、昔の子どもたちが遊んだ川と森の復元です。子どもたちは、森に永眠する人たちの生と死を心に感じ、自然界の豊かさを学びながら遊び、生きる力を養います。

 <樹を植え、森をつくる>
 このプロジェクトは、多種多様な樹が植わり、自然の小川が復元されていく何年かの過程を経て、自然の森になっていきます。ここに永眠する人とその家族と公園を創る人たち、そして地域の住民が森をつくるのです。そうして生まれてくる自然公園の森は、アルプスを背景にして、安曇野の景観と環境をよりいっそう美しいものにしていくものと期待します。
 このプロジェクトが立ち上がれば、全国から永眠を希望する人がやってきて樹を植え、そこに眠る人の家族、親族、友人が安曇野を訪れ、安曇野に親しみ、ステイしていくでしょう。

 <少ない費用で>
 現代社会では、新たに墓地をつくることが困難になってきています。先祖からの墓を持たない人も多いです。祖先の墓があっても無縁墓になっていく現実もあります。そして最近では、自然葬・散骨を希望する人が多くなっています。
 樹木葬は、従来の公共分譲墓地よりはるかに多くの人が土地を利用できます。同じ一本の木を何人もの人がメモリーにすることができるからです。墓地、墓石の費用も要らないため、費用は極端に少なくなります。

 <全国の事例>
 公共の樹木葬は、2012年から東京都が始めました。「樹林墓地」と名づけられた墓苑は大きな反響を呼び、希望者がたいへん多いと報じられています。
 日本でいちばん最初の樹木葬は1999年、岩手県の祥雲寺で行なわれた樹木葬です。 「花に生まれ変わる仏たち」をコンセプトに、里山保全・再生を目的として、生態系の循環、その土地の植生などを考えた里山保全葬プロジェクトとして行なわれています。千葉県南房総市の高照寺では、好きな樹木を植樹し、故人は樹木に生まれ替わり、花々や自然と共生するという「自然浄土」の樹木葬墓苑をめざしています。
 これらの実践は全国に広がり、庭園葬という形に発展しました。美しい自然の中で安らかに眠りたいと願う人、子どもたちに負担をかけたくない、お墓の継承が心配と思う人たちが、生きている間に、この樹木葬霊園を永眠の場所と決め、自分の好きな木を植えています。

 <地域の再生>
 「里山保全葬」を行っている団体では、「里山の持続的な復活再生の切り札的アプローチになる。里山の自然の中に葬られることで、里山保全につながるだけでなく、人々がふれあう場所に還ることにもなり、子や孫、親族が希望すればその地域の農生活に参加して、そこを故郷にしていくことも出来る」と提唱しています。
 植える樹木は、ハナミズキサルスベリウメモドキ、エゾアジサイムシカリ、ツリバナ、モミジ、サクラ、イチョウ、コブシ、コナラ、ブナ、クルミモクレンクヌギなど多彩で、花の美しい樹、新緑の見事な樹、はなやかに紅葉する樹、実のなる樹など、その多様性が、小鳥や昆虫の多様性を招きます。人が行きたくなるところになります。

 <新たな文化創造>
 このプロジェクトには発展性があります。NPO法人を立ち上げれば経営的に十分成り立つ可能性があります。園内に魅力あるレストラン・喫茶などの施設を作る。地域の宿泊施設と提携する。農業体験企画に参加してもらう。観光と産業、経済効果にも寄与する面があるでしょう。
 昔から墓碑を立てる代わりに樹木を植える習慣が日本でも世界でもありました。イギリスでは近年、遺骨を埋葬し樹木を植えることは緑化など環境的に優れた効果があるとして樹木葬が話題になっているようです。日本では寺社と公共墓地で始まっていますが、NPO法人で市民がつくっていくケースはまだありません。新潟市では公共の樹木葬公園をつくろうという市民運動が起こっています。環境、福祉、経済、教育、そして新たな文化創造の点からも、この構想には夢、希望があります。

 <実現に向けての課題>
 この構想を実現するには、いくつもの壁を越えねばなりません。計画を推進するプロジェクト組織をつくること、土地を取得し、水利権の問題を解決すること、行政の協力を得ることなど、大きな課題を乗り越えていかなければなりません。この自然公園の経営、維持管理は、市民の組織が行ない、ここで働く人が生活できるように財政面でも成り立たせねばなりません。耕作放棄地や、里山を活かし、地域の人々に喜ばれる活動にしていく一大事業になるでしょう。
 プロジェクトが立ち上がり、NPO法人など組織が生まれ、出資者を募り、土地の確保ができ、プランが練られて、企画が軌道に乗っていくことになります。
未来をつくるプロジェクトです。
 この構想に賛同する人を求めています。構想実現に向けて、一緒に行動する人はいませんか。