現場を見ず、現場を知らず

 昨夜は「安曇野市を考える市民ネットワーク」の会が公民館であった。いつものことながらやってくる会員は少ない。初めに12月市議会を傍聴した感想を出し合い、議会や行政の動きを話し合った。
 最初は市議会改革について。
 これまで会員がやってきた傍聴は、市民の側から市議会改革をめざすものだった。議員一人ひとりはどのような質疑を行ない、討論に参加しているか、それをチェックしてきた。議会議事録を調べて、過去に行なわれた質問・意見の回数もデータとして公開もした。それらの活動に加えて、いくつかの直接民主主義を求める市民運動の展開があり、そうした市民の運動が議員の意識に反映したのであろう、12月議会は、今までになく率直に、自分の考えを表出する議員が見られ、そのやりとりが真剣な討議になってきているのを傍聴した会員は観た。このことは評価すべきことであった。
 さらに、昨年から市議会のなかに「改革委員会」が作られ、全国の条例を参考にして検討した「議会基本条例」の素々案が今年文章化された。この素々案について市民はこれから検討し、意見を出していくことになる。
 今安曇野市で何が起こっているか、これについてこんなやりとりがあった。
 松くい虫被害の甚大な被害が明科地区で広がっており、被害木は伐採されている。さらに広がることを阻止するために、薬剤の空中散布も予定されている。それに対して反対の意見も出ているが、どう考え、どう行動していくべきか。
 企業の地下水汲み上げによる減水が起こっている。地下水保全、水資源の確保のため市は条例を制定しようと素案がつくられている。3月議会にそれが出てくる。自分の所有地の地下水は自分のものか。熊本の条例は安曇野よりさらに一歩進んでいる。安曇野市はこれでいいのか。
 教育については、こんな意見が出た。
 長野県の児童生徒の不登校在籍比率が全国高位にあり、小学校で全国最高位、中学校の比率も全国5位の高比率であった。そのなかでも安曇野市は比率が高く、不登校生徒は130名にもなるらしい。そうすると全国最高位ではないか。不登校の児童生徒に問題があるのではなく、学校に何らかの問題があるのだろうか。学校の実態、教育委員会の実態を問う意見が出た。実際、教育委員会は学校現場を全く知らない、ただ会議を開いているだけだという厳しい意見が出された。
 住民の反対を押しきって三郷につくられた産業廃棄物、ゴミ処理施設の建造物についての意見も交換した。
 地元が今大きく取り上げているのは、施設が稼動したときの音をさえぎる防音壁、これが震度5にも耐えうるものだとして業者は建設し、県に書類を出し、県はそれを安全なものだと認めた。しかし、業者が県に出した審査資料は実際の現場の事実にもとづくものではなかった。県は現場に足を運んで調査をしていなかった。防音壁はいつか崩れ落ちるだろう。県は住民説明会を開くというが、どう説明するのか。
 午後7時から9時まで、少数ながら会員たちは真剣に話し合った。
 現場を見ず、現場を知らず、役所の中で、議会の中で、ことを行ない、ことが進んでいくことの恐ろしさよ。