合唱曲「HEIWAの鐘」

 

三九郎



「鐘の鳴る丘コンサート 感謝の集い」の歌の練習が始まり、研成ホールに行ってきた。
30年間続いてきた「鐘の鳴る丘コンサート」は昨年2月27日でひとまず幕を引き、今後のことは分からないが、今年は「感謝の集い」として2月にコンサートが計画されている。
格子もフェンスもない開かれた少年院として市民から親しまれ応援されてきた有明高原寮「鐘の鳴る丘」、その少年たちと市民との友情が、これで切れてしまうのは忍びない。30年間コンサートを支えてきた早春賦愛唱会の人たちも高齢化し、指導者の西山さんも継続を懸念されての結果だろうけれど惜しまれる。
今年の感謝の集いへの呼びかけ文にこう書かれていた。


「鐘の鳴る丘歌う会と男声応援団は有明高原寮の生徒さんと『鐘の鳴る丘コンサート』で一日だけの合唱団を結成して歌って友情を結び合ってまいりました。小学校中学校合唱部の皆さんも一緒にでした。早春賦のテーマ、”厳しさを乗り越えて”と鐘の鳴る丘のテーマ、”みんなで仲良くがんばろう”を合わせた、春待ちコンサートでした。30年間の歴史を刻みましたが、2011年2月27日、惜しまれながらその幕は閉じられました。しかしながら、歌って結んだ友情の絆は消えるものではありません。」


このような稀有のコンサートが30年間続けられたことに感動する。
感謝というのは、その歴史を刻んだすべての人への感謝であろう。市民から少年たちへの感謝も、少年たちから市民への感謝も含まれている。
この日の練習会には、男性10名足らず、ご婦人20人ほどが集まり、例によって元気な西山さんの指揮が待っていた。
歌う歌は数曲ある。
最初に練習した合唱曲「HEIWAの鐘」は、ぼくは初めて聴く合唱曲だったが、すでに10年ほど前から小学校から高校まで、学校で歌われてきていたことを知った。作詞作曲の名前を見、歌詞を読んで、これは沖縄の歌だと分かった。
混声三部合唱、その歌詞。



   「HEIWAの鐘」( 中里幸広 作詞・作曲 白石哲也編曲)



一  よみがえれ あの時代(とき)へ 
   武器を持たぬことを伝えた 先人たちの声を
   永遠(とわ)に語り継ぐのさ       
   脅かすことでしか 守ることができないと      
   繰り返す戦争(つみ) 忘れゆく 愚かな 権力(ちから)よ  
   いつか自由な空が 虹かかる  翼ひろげゆく 
   風に高く大きな幸せ贈るだろう            
   風に幸せ贈るだろう            

   ぼくらの生まれたこの地球(ほし)に奇跡を起こしてみないか  
   拳(こぶし)をひろげて つなぎゆく
   心はひとつに なれるさ  
   平和の鐘は 君の胸に響くよ


二、 歌い踊り 助け合った
   振り向かず 笑い続けた       
   誇る島の魂を 永遠に守り抜くのさ        
   銃声が鳴り響き 海や大地が砕け散る           
   正義の叫び こだまする フェンスを飛び越えて      
   君が一人立てば 変わるのさ 明日へ輝いて
   ずっと 未来の夢を ここに残してゆこう

   ぼくらの生まれたこの地球(ほし)に 奇跡を起こしてみないか  
   拳(こぶし)をひろげて つなぎゆく
   心はひとつに なれるさ  
   平和の鐘は 君の胸に響くよ


練習が終わって家に帰り、インターネットのYoutubeを開くと、「HEIWAの鐘」の合唱がいくつも出てきた。
合唱コンクールでの合唱もあった。
「ぼくらの生まれたこの地球(ほし)に 奇跡を起こしてみないか」
この呼びかけは、沖縄、ヒロシマナガサキ、日本からの世界へのメッセージだ。