城雄二さんの「炭素循環農法」報告会


  朝の常念岳


地球宿で、城さんがブラジル帰国報告会を行なった。
古民家の2階、下で薪ストーブが燃え、宿泊客が食事をしている。
写真を映写しながら城さんは、いつものボクボクとした語り口で語っていく。


ブラジルで「炭素循環農法」、略して「たんじゅん農法」を行なっている日本人農家を城さんは訪問した。
白菜、レタス、キャベツがはるか長い畝に、えんえんと育っている。
彼らのつくる、野菜の様子、畑の様子を紹介して、
城さんの話は、農法の理論になっていった。
キノコの廃棄菌床を入れ、木材チップを入れ続けてきた畑の土に、キノコ菌が生きている。


「秘訣は、微生物、特に、菌類(キノコ菌、菌根菌)のエサの有機物を切らさないことです。
ブラジルのこの人たちは、作物を収穫したら、3日と空けず、次を植える。要するに、作物と多様な微生物を、ともに育て続ける。」


土壌の微生物に炭素資材を2年3カ月与え続けた畑は、棒を差し込むと、3メートルほどの長さの鉄棒がぶすぶすと土に入っていく。
土がこんなに団粒化している。
まだ日本では、団粒化は、70、80cm程度。
2か月、雨が降らなくても、野菜は生き生きと育っている。
雨が降っても水が畝間にたまらない。たちまち土中に吸収されていく。

「水を与え続けていると、キノコ菌は死んでしまう。最近分かってきたことでは、キノコは、かなり高等な生物であるということです。」

高等な生物は弱い。
キノコ菌は発酵菌の仲間、発酵菌は、味噌、醤油、酒、納豆をつくる酵母菌、乳酸菌、納豆菌など。


「発酵菌、キノコ菌は、腐敗菌、バクテリアなどの菌とは異なります。
堆肥などを大量に入れると、腐敗菌が元気になる。逆に発酵菌が死滅する。」


「この農法で作った野菜は出来もいいし、味がとてもおいしい。味が濃いし、うまい。
元気な野菜には、虫も来ないし、病気もない。土も健康。草もあまりない。
たかが団粒化。されど団粒化。だてに、3メートルではありません。」


植物の根っこの周りに、キノコ菌がくっつき、取り囲んで、それが根と一体になっている写真が映写された。


「この白いキノコ菌(菌根菌)が、深く伸びて水分を吸収してくれます。
共生しているんですね。」


山の中では、木々の下で 、菌と植物は共生している。

「自然天然の側から観れば、連作障害はありません。山をみれば、わかります。そのためには、微生物を量、質ともに増やすことです。それには、ただ、炭素資材を上に載せるだけでは、増えません。土とそれをあえる。しかも、耕さないであえる。それがみそです。」


微生物の世界があって、植物は育ち、人間も生かされている。
まだまだ謎の部分が多い。微生物の世界。
人とは、自分とは、なんでしょう。
城さんの話はそこへはいっていった。
そこで9時半、時間が来ました。
この話、
この農法、
この実践、
おもしろくなってきた。