「ハキダメ草が、庭中に繁茂してのう。」
児童館で一緒に子どもたちのお世話をしているSさんがおっしゃる。
庭に、今年はえらい勢いで広がっている草で、
調べてみたら、
「ハキダメギク」という。
ハキダメとは、ひどいネーミングですねえ。
中央アメリカ原産の帰化植物で、雑草として全世界に広がっているそうで。
牧野富太郎博士が世田谷の掃き溜めで発見したのでこの名前がついたとか。
我が家の庭に、ひそかに増えているのは、「ヘクソカズラ」。
小さなかわいい花をつける蔓性の草です。
奈良から持ってきた植物のなかに、くっついてきたらしい。
匂いが強く、「へ」すなわち「おなら」と、「くそ」すなわち「うんこ」みたいだ、とは。
独特の臭みがあるけれど、「おなら」や「うんこ」ほど臭くはありません。
人間さん、自分勝手な名前のつけ方ですなあ。
ヘクソカズラの別名は、ヤイトバナ(灸花),サオトメバナ(早乙女花)です。
可憐な花は、まさに「サオトメ(早乙女)」ですよ。
この名前で呼びたいですねえ。
乾燥したものは臭いが消えるので、果実を干して漢方薬にするそうで、生の実も薬用にするとか。
しもやけ、あかぎれなどに効くそうです。
「ニセアカシヤ」の樹が、このあたり、川岸に繁茂しています。
これを伐って、薪ストーブの燃料にしたらいいと、不動産屋のおじさんが言っていました。
なんで、「ニセ(偽)」なんや。樹にニセモノがあるのかい。
これは、北米原産のハリエンジュ属の落葉高木で、和名はハリエンジュ(針槐)です。
街路樹、公園樹、砂防・土止めにも使われています。
枝から白い花房をたくさんたらして、美しい。
我が家の庭に、いつのまにか芽を出していました。
にょきっと出てきた幼木にすでに棘(とげ)が生えていました。
葉は家畜の飼料にもされ、ミツバチがつくるこの花の蜂蜜は、すぐれたアカシヤ蜂蜜になります。
アカシアと混同され、詩歌、小説などでアカシアと書かれているのはほとんどハリエンジュのようです。
「ニセ」なんて、まったく人間の勝手な見方、樹は、「私たちはニセモノではありません」と言ってるでしょう。
ハリエンジュと呼びましょう。
「クサギ」という 臭いがする樹があります。
「臭い」という人間の感覚で名前が付けられた。
樹は、8月に白い花が咲き、きれいです。
アゲハチョウ、スズメガがよく来るそうです。
紺色の果実は鳥がよく食べます。
「ビンボウカズラ」という名前のつる性の植物が、いま我が家の庭で、これも引越しのときにくっついてきたらしく、増えています。
実は、「ヤブガラシ」です。
これが生えると貧乏になるとか言って、こんな名前が付けられた。
長い地下茎から芽を出し茎を伸ばします。
生長が早く他の植物にはいのぼって覆いつくし、藪を枯らしてしまうから「ヤブガラシ」です。
他の植物を利用して、その外側を覆い、光合成の最適な位置を確保して繁茂する。
それではこ困ります。
だから見つけ次第引っこ抜いていますが、
その植物にとっては、それは人間の側の価値観ではないですかと言いたいでしょう。