小柿の味・野沢菜漬け

michimasa19372008-11-28


  
                                      小柿


近所の畑の片すみに柿の木があり、実がたわわになっている。
いつまでたっても収獲する様子がないので、冬の鳥たちの食料にするつもりかな、と思っていたら、
昨日柿の木にはしごが立てかけられ、木の下にかごが置かれていた。
やっと収獲を始めたようで、干し柿を作るんだろう。
その木の隣に、小柿の木がある。
すっかり熟れて、色は黒っぽいぐらいのこげ茶、枝を揺すればぽとぽと落ちる。
実の大きさがブドウほど、そんなにも小さい。
11月のはじめに、ひと粒食べてみたら渋かったが、
それから熟柿になると、干し柿の味になった。
小枝に実をつけたままぽきりと折り取り、もらってきて食べたら、なんともおいしい。
今ではだれもとる人がいない、食べる人もいない。
昔は子どものおやつになったと地元の人が話している。
あちこち歩いてみて、この小柿をもう一本見つけたが、
これは既に滅びの段階に入っている感じがする。
小柿を食べていると、ほとんど種がないのだが、たまに種が口に残る。
これまでに2粒あった。
ブドウの種を扁平にしたようなかわいい柿の種、
この種類を滅びさせないために、種を植えてみようと思い立ち、
植木鉢に2粒播いた。
さて芽が出るか、
「早く芽を出せ、柿の種」
花咲爺さんになった気分で唱えている。


我が家では、店から渋柿を買ってきて、軒先に吊るしている。
完全な干し柿になる前の、中身のやわらかさが50パーセントぐらいのとき、洋子と1個ずつ食べてみた。
これはまた絶妙なおいしさだ。
正月、息子たちが帰ってきたとき、干し柿はお楽しみの一つだ。
市会議員の選挙が来年あるそうで、立候補予定の人が支援者と二人とぼとぼ歩いてやってきて、名刺を置いていった。
帰り道、二人はお向かいの柿の木から、一個ずつもぎとって、かじりながら帰っていった。
そうか、あの柿は甘柿だったか。


洋子が野沢菜を刈り取って、漬物に漬け込んだ。
庭の隅に畝を作り、そこに種を播いて育てたのだが、鶏糞をたっぷり入れたはずが、元の土が無機質だったため肥料が足りなかったせいか、はじめは勢いがあったが、生長の後期に伸び悩んだ。
背丈80センチ以上になるはずだが小さい。
播種の時期をもう少し早めにしたほうがよかったかもしれない。
霜も降り、初雪も来たから、これ以上置いておいても生長は望めないから刈り取ることにした。
漬物桶に菜を入れて、昆布カツオの出し、タカノツメ、煮干、塩、リンゴの皮、酢を入れ、
全部で20キロ、洋子が一日奮闘して、
重石の大石を置いて準備完了。
これも正月には、おいしく食べられるだろう。
肥料の不足か、植え付けの時期が遅かったか、大根も生長が鈍い。
これも肥料っ気のない土を起こしたからだろう。
種は「信州地大根」で、高地でも栽培できるものだが、やはり堆肥不足、カリ肥料を追肥する必要があった。


小麦の芽が伸びている。
今年採れたわずかな麦の穂をほぐして種を取り、
狭い畝に、できるだけたくさん育てたいから、5条播きにした。
もう一箇所には、古い種を播いた。
古いのは奈良にいたときに収獲したもので、まだ発芽能力があるかどうか実験的に播いた。
そうしたら、この3年半前の古いのも、芽を出してきている。
我が家では天然酵母でパンを焼いているから、
来年は我が家の小麦でパンを焼きたいと洋子が言う。
それにしては畑が小さすぎるのだが、今はあるだけの空間に播いて、そのうち広げるか。


ツタンカーメン王の伝説のエンドウの種を今年も保存しておいたら、みごとに虫にやられていた。
さやの中にしのびこんだ虫が、種の豆に穴を開けて入り込んでいる。
穴の中から、ゴマ粒ほどの黒い虫が出てきた。
しまった、冷蔵庫で保管すべきだったと思ったが後の祭り。
なんとか穴のあいてないのを選り分け、20粒ほど播いてみた。
すると、いくつかが、芽が出しているのを発見。
よかった、来年も採れそうだ。
飛騨の赤カブは、表皮がきれいな赤色、中身は真っ白、
生のまま薄切りにして、葉っぱも刻み、リンゴをまぜてドレッシングをかけて食べる。
歯ごたえがあり、しゃきしゃきして、新鮮な味わいこのうえない。


イチイの生垣の外に、小さな木の芽が出てきて今は15センチほどになった。
葉っぱが針葉樹のものだったから、なんだろう、と分からないまま眺めていたら、
秋になると黄ばんできて、やがて茶色になって散っていった。
やっとそれが落葉松の子どもだと分かった。
このままではいずれ車にタイヤにひかれてしまう。
どこかへ移植して育ててやりたい。