「こんにちは」

     
     「アッサラーム アレイクム」


アッサラーム アレイクム」
アフガニスタンの「こんにちは」
「あなたのうえに、平安を」
という意味だそうな。
手と手をとりあって、
アッサラーム アレイクム」
肩と肩とを抱き合って、
アッサラーム アレイクム」
右頬、左頬、
頬と頬とをふれあって、
アッサラーム アレイクム」
ゆっくり時が流れ、
ゆっくり出会いを喜び、
ゆっくり旧交をあたため、
ゆっくり友情が芽生えてくる。


アフガニスタンで井戸を掘り、医療活動を行っている『ペシャワール会』の人が述懐する。


 目が合ったら「アッサラーム・アレイクム」、
 肩を抱き合い、握手をする。
 しびれるほど手を握り手をブンブン振る人、
 キスをする人・腰に手を回し体を持ち上げクルクル回る人。
 毎日何十回とくりかえし、
 誰かに触れる度にその力強さ・温かさから
 「ああ、生きてるんだ」と当たり前のことが伝わってくる。
 もし日本でこちらの挨拶が流行したら、
 陰惨な事件、人を人とも思わないような犯罪が減るのでは?
 世界中でこの習慣が定着したら、
 戦争は無くなるのでは?


国境なき医師団』の助産師が感嘆する。


 アフガニスタンの朝の挨拶は、長い。
 「サラームアレイコム」から始まって、
 「おはよう、げんき?調子はいい?幸せ?
 疲れていない?・・・・・」
 会う人会う人ごとに繰り返される。
 結構疲れるけれども、怠ってはいけない。
 礼儀を重んじる国。
 私はアフガニスタンの挨拶が好きだ。
 毎日毎日同じ事を繰り返すんだけど、
 実は毎日同じ事を繰り返すことができる幸せを、
 かみしめている。
 日本にいたときには、
 こんなに毎日すべての人に密な挨拶をしていなかった。
 挨拶は一日のウォーミングアップだ。
 今日も一日がんばろう。


ペルシャ語アラビア語も、
「サラーム」
イスラエルは、
「シャローム
発音が少し違っても同じ。
「シャローム」はヘブライ語
ヘブライ語の「平和・平安・友好」
エルサレム」は「イールシャローム
ヘブライ語の「平和の街」
エルサレム」は、イスラム教、キリスト教ユダヤ教の聖地。
だから根源的に「平和の町」
異なるものが寄り合って平和に暮らす。
神が与えた実践の地、


だが、いつまで経っても、戦乱が絶えない。
神が人間に与えた試練。
40年前、トルコからインドまで旅をした。
そのとき、イスラエルとアラブは休戦状態、
ほかの国々は平和だった。
イラクもイランもアフガニスタンパキスタンも、
平和だった。


あなたに平安を。
あなたに平和を。




   「ペシャワール会」は、
    中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成され
    1984年より現地活動を開始。
    パキスタン北西辺境州・アフガニスタンに1病院と4診療所を運営。
    年間約16万人(2003年度)の患者診療を行っている。