カボチャの収穫


       土からの贈り物


台風13号の雨が来る前日、
安曇野にコンバインが終日音を響かせ、
稲刈りを急いでいる。
今年の稲の稔りは良い。
蕎麦が白い花を咲かせている。
蕎麦畑の白色と稲田の黄金色、その調和が清楚で美しい。


暁生さんの家の庭の余分な土をもらってきて
我が家の庭に入れたその土から、
カボチャの芽がにょきにょき出た。
間引いてあちこちに植えておいたら、
8月の日照りを受けてぐんぐん蔓を伸ばし、
枯れた垣根の枝にぶらさがった実は3個、
地面を這って太った実が4個もあった。
去年暁生さんの家族が庭に捨てたカボチャの種は、
今年、我が家に8個の大きなカボチャを稔らせた。


我が家はずっと以前から、生ゴミをポリの容器にほうりこみ、
EMボカシを一つかみその上に撒いてふたをし、
そうして満杯になったら、
畑に掘った穴に入れてきた。
EMボカシを入れると生ゴミの臭みは消え、
やがてEM菌によって発酵していく。
それを入れた畑は、肥沃な土になった。


あれ、こんなところから、どうして?
毎年、思いがけないところに冬瓜(とうがん)が生えてきたり、
カボチャが芽を出したりする。
カボチャと冬瓜は、こちらの意図とは異なる畑の闖入者のようだが、
彼らは忠実に畑の中で循環している先住者だ。
大和の葛城の家では、ゴーヤもそうだった。
今年、ここに引越しをして、
西日を防ぐため、西の窓の下に大型プランターを置き、
ゴーヤと隼人瓜(はやとうり)と夕顔を植えた。
だが、地植えじゃなかったせいか土のせいか、
あるいはこの地の気候のせいか、
ゴーヤは小さな実がいくつか採れただけ、
隼人瓜はひとつも実を付けなかった。
夕顔は、蔓の先端で白い花を咲かせて、
少しばかり主の顔をたててくれている。


ゴーヤはやっぱり沖縄のものか。
今年安曇野で苗を買って植えたゴーヤは、
あの旺盛な葛城の、
2メートルを越える支柱にからみついて、ジャングルのように繁茂し、
毎日食べても食べ切れなかったゴーヤにほど遠い、
結局ゴーヤチャンプルは一回食べただけだった。


初なりの庭のカボチャを食べた。
土からの贈り物。
あと7個、これからのお楽しみです。