散策で出会うもの


       ウォーキングの楽しみ


安曇野の辻つじに、
人間の背丈に少し足りないほどの自然石が立っている。
道祖神、二十三夜塔、筆塚、
夫婦仏は仲むつまじく、
手をつないだ仏様。


村のなかを斜めに上っていく道の十字路脇に、
ここは十辺舎一九が通った道であるという標識が立っている。
弥次さん、喜多さんの「東海道中膝栗毛」の作者が江戸時代、
こんなところを歩いていたのかい。


大きな水車が回っているのを見つけて近寄っていくと、
普通の民家の庭先に「安曇野水車公園」と小さな看板がかかっていて、
これはすごい、
十数台の大小さまざまな水車が回っている。
小さなのは水車の直径が50センチほど、
大きなのは直径が3メートルほどもある。
「水車発電をしている」と書かれていて、
この十機ほどで発電しているのだろうか。
水はたぶん農業用の用水路の水だろう。
「水車製作販売」という札もある。
おもしろいなあ。


野の道を行くと、
畦に人間の姿をした木が一本立っていて、
右腕にあたる枝が折れ曲がっていく道の行方を指している。
イヌつげの木だね。
その横に小さな札が立っていた。
安曇野一の小さな田んぼ」
つげの木の後ろを見ると、
なるほど、水の入った田んぼは
一辺が十メートルほどだった。
いろんな人がいるんだねえ。


地元の人たちのウォーキングコースという道しるべもある。
諏訪社の手前に、
人間の二倍ほどの石の観音さんが立っておられる。
石屋さんだ。


田んぼの水見に行く農夫が、
見慣れぬぼくに会釈したり挨拶をしたりする。


ライラックが咲いている。
いたるところにハナミズキの花が咲く。