「安曇野スタイル2013」開催

 今日から4日間、「安曇野スタイル2013」が開催される。安曇野という地域、すなわち安曇野市松川村、池田町のエリアで開催される一種の文化祭的イベントだ。出演者が一同に会するのでなく、加盟している人がそれぞれ自分の活動している拠点で、自己の文化的活動をオープンにするというものである。
 今年は117の加盟者がある。美術、工芸、料理・食品、宿、古民家その他、分野はさまざまで、自らの「ものづくり」「文化活動」を通じて、安曇野の文化を創造していこうとしている人たちである。この行事は今年で9年目になる。純粋に市民の発案で生まれ、市民の手によって育てられきたこの活動は、秋の信州のイベントとして県外の人たちにも定着してきている。4日間、美術館、工房、ギャラリー、店、宿、個人宅が、「どうぞおいでください」と門戸を開き、おもてなしをする、そこを訪問者は選んで訪れる。
 去年初めて我が家の奥さんがやっている「柿渋染め」が参加した。ぼくの造った工房はその舞台になった。この広い安曇野の中に点在する加盟拠点を、資料をもとに探し訪ねていくのだから、探し当てるのもいささか困難が伴う。「柿渋工房 邂」を、主催者の発行している地図とそのなかに入っている説明をもとに、探し当てるのは難しかったという声があったのも無理はない。
 そこで、今年は看板を目立つようにした。「安曇野スタイル2013」のポスターをベニヤ板に貼り付けて看板を作り、その下に「柿渋工房 邂」と書いた札を取り付け、それを、イワオさんの了解を得て、イワオさんの家の前、訪ねてくる人がいちばん間違いやすい道路の分岐点に立てた。看板の支柱は丸太、その丸太を地面に立てたのだが、その地面の土の固いこと、石がごろごろあって、なかなか深く掘れなかった。
ポスターの2枚目は、我が家の家の南、クラタさんの畑の畦、3枚目はイーゼル(画架)風の看板にして、家の北側、入口に立てた。いずれも車に乗ってくる人の目に留まりやすくした。
 駐車場は特にない。そこで、隣の田んぼの畦を使わしてもらうことにした。ヒデタケさんに電話すると快く、
 「いいですよ、田んぼのなかにとめてもいいですよ」。
 そこで、車を止めやすいように、畦の草を刈って、そこに「P」の立て札を立てた。ヒデタケさんは、わざわざ軽トラックでやってきて、いきなり田んぼのなかに乗り入れ、
 「大丈夫だね、固いね」。
と点検してくれた。稲の切り株の残った田んぼの土はよく締まっている。これなら車のタイヤは沈むことはない。
 アヤコさんにも了解を得た。アヤコさんの田んぼは、ヒデタケさんの下の田んぼだ。
 「いいですよ。どうぞどうぞ、草刈ってありますよ」
ということだった。みなさん、気のいい返事でありがたかった。
 10時過ぎ、もうお客さんの姿が見えた。
 本日の訪問者は32人、明日と明後日は土日だから、人数はもっと増えそうだ。
 我が家の近くでこのイベントに参加しているのは、同じ区内の、木の実や木の枝など自然素材を使ったクラフトのお店、いつものラン散歩コースのログハウスに住む、絵の制作グループが開く個展、そしてパッチワークの材料や作品をたくさん制作している人のお店。少し離れた穂高地区では、椅子などの手づくり家具を個人宅で作っておられる人もいる。
 何人かの人たち、市民の描いた夢が、こうして広がりをもって展開されるようになった。その地道な努力、たえざる実践に敬意を表したい。ここから学ぶものは大きい。