芋


    サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ


毎朝サツマイモを食べる。
秋の収穫から毎朝つづけてきた。
カスピ海ヨーグルトと、蒸かし芋と、果物と、
それが我が家の朝の食卓。


去年の夏、
ぼくが北京にいる間に洋子が苗を植え、
ホームステイしていたヤスヨちゃんが草を引き、
秋にぼくが収穫したサツマイモ。
もう残りも少なく、小さなヒゲイモばかりが箱に残っている。
収穫したサツマイモは、気温が15度より下がり、
ぐんぐん冷えると変質して、食べられなくなる。
それを防ぐため、イモをもみがらに入れたり、保存箱の上からふとんをかけたり、
いろいろ工夫をしてきたが、やっぱり毎年冬の半ばでだめになった。
今年は、居間の中に箱を置いて、初めは布団を掛け、
途中から発泡スチロールの箱に入れて保管し、
毎朝少しずつ食べてきたが、
とうとう全部を腐らせずに食べきることができる。


12月の暮れに収穫した秋のジャガイモは、
納屋の箱の中に収めてある。
春のジャガイモがまだ残っていて、暗い箱の中で芽を伸ばしているが、
今はまだ、洋子がその芽を取り除いて、しわしわのも料理して食べている。
北海道のアイヌの人たちは、
ジャガイモを凍らせ、解凍し、ぐにゃぐにゃになったのを発酵させて団子を作る。
焼いた団子のポッチェイモ。
それは、格別おいしいらしい。
サツマイモは寒さに弱く、ジャガイモは寒さに強い。
風土の中で、それぞれイモにも性質がある。


サトイモもよくできた。
土の中にお宮さんの落ち葉をどっさり入れて、
台所で使わなかったイモを種に埋めておいたら、
みごとに大きな葉を茂らせた。
夏場はかんかん照りで、水不足になり、一時は枯れる葉もあったけれど、
ときどき水路から水を引き、水を運んでかけたりして、
旺盛な葉っぱの勢いを保つことができた。
サトイモのほとんどは今、まだ畝の中にある。
根元から上を刈りとった畝の上に、
刈りとったサツマイモのつるや葉を積み、
そのうえにモミガラを撒き、黒いポリのシートで覆った。
これで春まで保存できるだろう。
おせち料理に、おでんに、一株ずつを掘り起こしてきた。
一個のイモから、何十個もの小イモが生まれて、
親イモの周りにくっついている。
有機でつくったサトイモのうまいこと。
もちもちと深い味わい。
山東半島の青島にいたとき、
田舎町のレストランが田舎料理を出してくれたそのなかに、
サトイモの茹でたのがあった。
つるりと皮をむいて、そのままイモを味わう。
これはきぬかつぎ、私の好物ですというと、
電子レンジで、10分ほどチンをしたら、おいしく食べられます。
このイモは、この季節なかなか手に入らないものです。
そう言って、オーナーはお土産に持たせてくれた。


サツマイモがなくなったら、朝食は何にするかな。
ジャガイモを蒸かすかな。