「罵倒文化・愚弄文化」


     罵倒文化


象の背に乗った若い女性タレントが、
象の手綱をとる男性に罵声を浴びせる。
「てめえ、なにしてんだよー、‥‥」
べらんめえ調のどぎつい言葉は、
男性のプライドをひどく傷つける内容なのだ。
浴びせられた男性は苦笑する。
男性はインド人だろうか。
「志村の動物園」とかいうTV番組。
お笑い番組さ、悪気はないさ。
ふざけているだけなんだから。
そうかねえ。ゴールデンタイムだよ。
日本の子どもたちが見ているんだよ。
女性タレントは罵倒で人気をとっているという。
罵倒文化、愚弄文化、嘲笑文化、
いつからこんな文化の跋扈する日本に成り下がってしまったのか。
だからなんだ、
当タレントをけなすメールに、
「○○は死ね」
インターネットの当タレントのページに、
こんなメールが送られてきているではないか。
罵倒が罵倒を生む。
けなしがけなしを生む。
否定が否定を生む。
「死ね」
この言葉が中学校の落書きなどに現れ始めたのは、
1980年ごろだった。
その言葉を使うことを制止していた心の制止弁が緩みだした。
社会のモラルのねじがゆるみだすのと軌を一にして。
人を嫌悪し攻撃するとき、
より直接的で過激な言葉を使おうとする。
言葉が荒れていく時代、
過激であれば効果があると考える。
テレビも週刊誌も‥‥。
もうかればいい。成績を上げればいい。
心の中で人を殺す、その言葉が日本に広がる。
その時代のその社会、それと連動する何かが現象に現れ、
人を傷つけ、
命を奪う言葉に鈍感な文化社会。