ジン君、三ヶ月ほどベトナムに帰っていて、8月末にまた実習生として同じ職場にもどってきた。
ジン君、日曜日、日本語学習にやってきた。
「ベトナム、どうだった?」
「暑かったです。」
「いやあ、日本も暑かったよー。安曇野でも37度近く行ったからなあ。」
「ベトナム、もっと暑い。40度以上です。いちばん暑いときは45度‥‥」
「ひえー、暑いなあ。」
「子どもの頃は、32度とか33度とかだった。」
異常な酷暑は、日本だけかと思ったら、ベトナムも異常な酷暑になっていた。
「やっぱり地球温暖化が進んでいるねえ。地球、どうなるかねえ。」
被害をもたらす台風も、海水温の異常な高温下で、大きく発達したということだ。海の水が30度とは、えらいことだ。湯ではないか。その湯が水蒸気になって雲を作り、大雨をもたらす。気圧差を拡大し暴風を生む。
「ベトナムの家族のみなさんは、元気でしたか。」
「お父さんは前に亡くなっていません。お母さんは、マンゴーとかスイカとかを、農家から仕入れて、市場で売っています。妹は結婚しました。妹の夫はベトナムの海軍に入っています。休暇になったら帰ってきます。今は軍艦に乗っています。」
ジン君は、ベトナムに帰っている間に日本語検定の二級の試験を受けた。結果を聞くと、だめだったと言う。ズック君も二級を落ちた。残念。ジン君とズック君、なんとか日本にいる間、来年には二級を取らせたい。先に帰ったハー君は、二級を取り、ベトナムで日本語を教えているらしい。でもまた日本に来るそうだ。今度は農業実習生として行きたいと言っていたらしい。ハー君、早く結婚したいと言っていたが、まだ結婚相手が見つからないようだ。
ジン君はこの冬に雪が少し積もったとき、自転車に乗った。運悪くタイヤが滑って転倒し、頭を強打して入院した。その後退院して仕事に復帰したが、まだ完全に治っていない。薬をいろいろ出してもらっていたのをベトナムに持って帰っていたが、薬は飲まなかった。ときどき頭がクラクラするという。