高賛侑君、「むのたけじ賞」受賞

 

 高君が、受賞した。

 高君の人生は、「人間とは」をひたすら追究する道だった。「民族とは」「人権とは」「生きるとは」、ゆるぎない歩みだった。

 高君の淀川中学時代、ぼくは担任教員、彼は生徒、それから60余年が過ぎた。

 彼は今75歳、彼の歩みは止まらない。ぼくの自伝的小説「夕映えのなかに」に、あの中学時代を書き込んだ。彼が学級委員長だったあのクラスで、彼と仲間は、学級新聞を発行し続けた。学級弁論大会を企画し、各班から弁士が6人出て、演説した。そのなかに在日コリアンの女生徒がいて、彼女の告発は驚嘆すべきものだった。コリアンに対する差別の告発だった。あのときのクラスは、そういうことのできる集団だった。中学三年生と言えば、高校受験の勉強があるから、放課後の学級活動なんてやれない、というのが一般の状況だろう。60年前の卒業生とのつながりが、今も生きている。