香原志勢(人類学者)が、「石となった死」という書を出している。
その最後に、こんな言葉を書いた。
「第二次世界大戦後、ヤスパースは戦争責任に触れて、『現代に生きていること、そのことこそ罪悪である』と言ったという。この言葉はわたしの肺腑をえぐる。今日のさまざまな事件に対して私に何かできることがあると考えるのは傲慢であるが、しかしそのような事件のある社会に私が住んでいるということはおぞましい。しかし逃げようがない。
生物はすべて死ぬが、物質不滅の法則が成り立つ以上、その死の影響や亡骸が頭に浮かぶ。死後の世界に責任はないにしても、何かが残る。人間の生命は他の動物の死のうえにたっている。そしていろいろな動物の死は化石としてとどめられている。」
今年は、いや今年もと言うべきか。なんと人間という生き物は、残酷で貪欲なのか。
どれほどの死を積み上げて気がすむのか。
今日テレビで、立花隆のドキュメントの再放送を見た。
彼はこんな予言を残した。
「人類は進化して、一体となる」
これをどう受けとめるか。
「人類は地球環境を破壊し、戦争をやめられず、やがて滅ぶ」
という予言もある。
立花の希望の言葉を信じたいが、後者の悲観も根強い。