体調も良くなかったし、本の出版にともなう仕事も多かったし、
あれやこれやらで 畑を放置していたから、黒豆畑は草に包まれ、
実も茎も 茶色に枯れていた。
秋の天気のいい日に、痛む足を動かしながら、
やっとこさ 鎌で黒豆のサヤを刈り取って
干しておき、
この頃 夜なべ仕事に、豆むきをしている。
元気な年は、ブルーシートに刈り取った株を干しておき、
板の上に株を置いて、竹刀でポンポン叩き、豆を分離していた。
農家は機械化しているから、豆畑に機械を入れて、
株を刈り取りながら、その畑でサヤから豆だけ分離し、
サヤや幹、葉は畑に残していく、
次のこやしに。
ぼくは音楽を聴きながら、
豆むき。
黒光りした豆。
虫食いは別の箱に。
反田恭平の第三ラウンド演奏で弾いたソナタ。
「葬送」の曲に続いて表れてくる、
「神よ ポーランドをお守りください」
胸にしみる祈りの曲、
反田君の顔も祈りの顔。
ぼくの豆むきの手が止まる。
夜なべの豆むき、ここ数日続く。