大阪で進行している高校削減



 インターネットに次のような呼びかけが届いた。

 

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 大阪では「3年連続定員割れで再編整備」という府立学校条例がつくられ、17もの府立高校が廃校にされています。大阪府教育委員会は、昨年、阪南市の泉鳥取高校を含む3校の廃校を強行したのに続き、今年も平野かわち野美原の3校を再来年度から募集停止し、廃校にするとの方針を決定しました。これは、私たち、大阪の高校を守る会が提出した約1万名の反対署名をはじめ、多くの府民の声を踏みにじる不当な決定です。

 これらの学校はいずれも地域の子どもたちが通う「地域の学校」です。当該地域である松原市の小中学校の校長会からも撤回を求める要請書が出されています。かわち野高校は元々、盾津高校と加納高校が統廃合されてできた学校で、「機能統合」先とされている高校(枚岡樟風高校)も、食品産業高校と玉川高校の統廃合でできた学校です。

 そもそも子どもたちの学ぶ権利を保障するために設置されている公立高校の定員は「ゆとり」があって当たり前です。教育委員会は、毎年、進学予定者数を上回る募集定員(公立と私立の合計)を設定し、これを「就学セーフティネット」としています。つまり、「学校の努力や取り組み」とは関係なく、毎年、必ず「ゆとり=定員割れ」が生じるしくみとなっているのです。「進学を希望しながら行き場のない子」を出さないためにつくられた「ゆとり」を理由に学校をつぶすというわけです。

 すでに廃校になった学校の卒業生からは、

不登校でこの学校しか行けないと言われた。でも、進学したら少人数で先生たちが丁寧に関わってくれ、自分を取り戻すことができ大学にも行けた。」

などの声がたくさん寄せられています。「定員割れ」の学校は「魅力のない学校」ではなく、地域の子どもたちの学ぶ権利を守っている学校です。

 教育委員会は「少子化だから仕方ない」と正当化していますが、実は毎年、入学試験では「定員割れ」をはるかに上回る不合格者が出ています。通学区の撤廃や学校の特色化など競争をあおる施策が、受験生を「人気校」に集中させているからです。府立高校全体の志願倍率は1倍を超えており「府立高校が余っている」のではありません。競争をあおり、少子化のもとでもたくさんの子どもたちを不合格にしながら「定員割れ」を理由に高校をつぶすのではなく、過酷な受験競争を緩和し、希望者全入こそめざすべきです。

 また、教育委員会1学級40人を前提にして「少子化だから高校を減らす必要がある」としていますが、世の中の流れは少人数学級へと向かっています。少子化をチャンスと捉え、ひとり一人に行き届いた教育を実現するために、国際標準の20人学級に向けて、35人学級30人学級など、少人数学級をすすめることこそ求められているのです。

  私たちは、大阪府議会に請願します。

平野高校・かわち野高校・美原高校の募集停止決定を撤回し、3校を存続させること。

「3年連続して定員に満たない高校は再編整備の対象」としている大阪府立学校条例を抜本的に見直し、「定員」を理由にした高校つぶしは行わないこと。

少子化をチャンスと捉え、少人数学級の実現、学校規模の縮小など、すべての府立高校の教育条件を改善すること。

 皆様のご協力を心よりお願い申し上げます。

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 私にとっては、今ははるかな地から届いた呼びかけである。大阪は遠くなった。ここ十年、大阪の土を踏んでいない。耳に届く情報では、大阪の教育現場は寒々としている。教育行政はほとんどトップダウン、教育現場の真の実態をつかんでいない。理想を描き、創造力を生み出そうとする理論も理想も展望も感じられない。

 それは大阪だけではないだろう。私は長野に来て私学の高校で数年間非常勤教員を勤めたが、驚くべきは、職員室に教員たちの会話が無いことだった。休憩時間、教員はみんな自分の机に座ってひとりで何かをしている。職員会議でも議論は皆無なのだ。

教育研究、授業研究の討論はなく、上からの通達だけがある。本来あるべき、生徒たちの実態、指導内容、悩み、実践アイデア、希望などの意見交換が、ゼロという恐ろしい光景だった。それはその学校だけのことだろうか。

 たまたま私が、仮説実験授業について休憩時間に、隣接の教員たちに話すと、「そんな授業があるのですか、知らなかった」と目を輝かせて聴いてくれた。

 教育創造の伴わない教育貧困行政は恐ろしい未来を生むことだろう。