戦争論 3

 

 

 

 加藤陽子さんは、「歴史の誤用」というものを指摘していた。

 「政治的の重要な判断を下す人は、過去の出来事について、誤った評価や判断を導き出すことがいかに多いか。」

 アーネスト・メイは、アメリカのベトナム戦争について研究した。

「なぜこれほどまでにアメリカはベトナムに介入し、泥沼にはまってしまったのか」

 アメリカのベトナム戦争に対する政策は、アメリカの中でもっとも頭脳明晰で、優秀な人たちがたてたはず。メイは、三つの命題をまとめた。

 

 1、外交政策をたてるものは、歴史が教えてくれていると信じているものの影響を受ける。

 2、政策をつくるものは、歴史を誤用する。

 3、政策形成者は、そのつもりになれば、歴史を選択して用いることがある。

 

 その結果がアメリカの政策失敗だった。

 そこに第二次世界大戦後の「中国喪失」というアメリカの体験が関係している。それゆえに南北ベトナムに、自らの望む体制をつくらねばならないという歴史観固執が生まれた。

 

 今のウクライナの戦争では、ロシアによる歴史の誤用が著しい。