小学生のころ、友だちが、「日本は無条件降伏や」と言った。「無条件降伏って、なんや」、ぼくは聞いたが、だれも知らない。先生からも説明がなかった。
1945年7月26日、アメリカ、イギリス、中国の出したポツダム宣言は、戦争終結の条件を示したものだった。その内容は、軍国主義者の永久除去、日本の領土のあり方などの13項目があった。
日本はそれを黙殺した。
原爆はすでにアメリカで、7月16日に最初の実験が行われ、甚大な被害をもたらすことが確認されていた。
日本は、各地がすでに空爆されて焼け野が原になっているにもかかわらず、「ポツダム宣言黙殺、戦争邁進」を貫く。
ポツダム宣言を出すとき、どんな形で戦争を終結させるか、連合国側は考えた。
アメリカの歴史学者、アーネスト・メイは、アメリカ政府の意思決定にたずさわる人々が、歴史をいかに誤用したかを詳細に研究した。
「アメリカは、第二次世界大戦の終結条件は、日本、ドイツ、イタリアの無条件降伏であると、固執した。」
その方針が、原爆投下の現実化となっていった。日本政府もまた神国日本の妄想を国民に振りまきながら、原爆への道を黙許していったのだ。