教え子からの手紙 3

 

 

 

 



 

  小説「夕映えのなかに」の、加美中学卒業生、後にも先のもこんなオテンバいなかったいうほどの最高のオテンバだったヨッシーから手紙を受け取ったのは、ヨッシーが二十歳になった時だった。

 手紙は、長かった。一部を引き出してみる。

 

 「みんな変わったよー。マスオは結婚してすごくまじめで、愛妻家で、仕事が終わればまっすぐ家に帰る、一児のパパです。今はみんなに説教するオヤジになっています。昔を知っている人はみな”別人”と言います。まえに飲み屋で会った時、愚痴をこぼしました。仕事が順調で、やっとここまで来たのに、昔を知っている人が、おまえは昔悪かったアイツか、そんな奴に仕事任せられるかという話になったらしいです。今はまじめになりましたと意思表示したそうですが。なんでやねん。かわいそうでした。

 マサルもまじめになりました。コウイチ夫妻は一男一女のパパママです。

 先生に勧められて、いやいや建国高校に入学したやろ。けれど高校三年間、すごく楽しかった。いろいろあったけど、卒業できた。建国高校に入ったこと、先生にすごく感謝してた。同じ国の友だち、先輩、先生、いろいろな人に会えて、在日韓国人に生まれてきて、すごくよかったと心から思えた。

 建国高校在学中、日本の学生からいろいろ言われたりしたけど、そのときはみんな団結して闘ったりしたよ。

 日本人の彼氏ができたとき、『私は在日です』と、胸張って言えませんでした。『どうしたヨシ、なんで在日ですと言えへんねん。在日でよかったと誇りに思っていたヨシはどこへ行った。』と私はつぶやきました。こんなん、あかん。在日が原因で別れるなら、それまでのヤツやと思った私は、『実はヨシはな、』と話しました。そしたら彼は知っていました。私の友達から聞いていたらしいです。気にするほどでもなかったので、よかったと思いました。

 私の父親は昔人間で頑固者です。父は、結婚するなら絶対『在日』だけと言います。今付き合っている人とは結婚する話はありません。

 この間、卒業アルバムなどを引っ張り出して見ていて、なつかしいものを見つけました。先生がヨシに書いてくれたものです。

 『人に愛情を注ぐと、いつか自分にも返ってくる。』

 困っている人を助けると自分に返ってくる。」

 

 そして私の遍歴について書いていた。、

 「先生は自分のやりたいと思うことは誰に何と言われようと、やり通すもんな。まあ、先生も納得いくようにがんばってください。私も後悔しないようにがんばります。

 ヤンチャたち、みんな元気に頑張っていますよ。」