教え子からの手紙 4

 

 

 

 小説「夕映えのなかに」のなかに書いた、重度の障害児ヒロシとサトシ、そのヒロシから卒業3年後にハガキが来ていた。書類を整理していて発見。

 1字が2センチほどの大きさ、ぶるぶるふるえて、ゆがんだ字。左上から右下に降りて、左に曲がり、さらに字が大きくなる。

 

   「本に書いてくれて、まいどおおきに。元気ハツラツ、

    僕もやっとこさ 運転免許がとれて、とれて、うれしかった。」

 

 つづいて5年後の年賀ハガキ。

   「今年 11月に 川原製本紙工に就職できた」

 

 驚くべき報せだった。体と知能の障害にもかかわらず、彼は挑戦し続けていた。

 だがそれから連絡が途絶えたままだ。いまどうしているだろう。

 今どうしているだろう。