「夕映えのなかに」感想(3)

 前川喜平さん(元文部科学省事務次官)から いただいた感想>

  戦後教育を真摯に生き、教育とは何かを問い続けた一人の教師の精神の遍歴と奮闘の軌跡を描く自伝的作品。被差別部落在日コリアンへの差別と向き合い、抑圧的な学校のあり方に抗いつつ、常に子どもに寄り添おうと努める主人公。しかし自身の中に生徒に対する抑圧者を見出したとき、彼は教職を去る。彼の挫折から何を学ぶか。若い教師にこそ読んでもらいたい一冊である。 

 この作品では、古今内外の文学や思想、教育論や教育実践が随所に紹介されており、優れた入門書として読むこともできる。また、体験的な戦後教育史としても興味深く読めるし、古代につながる河内や大和さらにはユーラシアを舞台とする紀行文学としても面白い。加えて山登りの魅力を教える書にもなっており、作者の思索と活動の幅広さを物語っている。 

 

 <里中満智子さん(漫画家)からの感想>

  驚異的な記憶力に驚きました。 私など身体も頭も怪しくなってきているので、尚更驚きました。ボリュームにも圧倒されました。記憶力だけでなく気力、体力も超人的だと思います。素晴らしい!  

 私はかなり前から河南町大阪芸術大学で教えていますが、ご著作を拝見して、先生があの近辺にご縁がおありだったと知りました。古墳だらけの沿線で、興味深い史跡が多いですね。 

 ブログも拝見しました。まだ一部しか見ていませんが、ランちゃんがそこにいるかのように思いが伝わってきます。犬は特別な存在ですよね。 

 コロナはまだまだ油断できませんので、お気をつけてお過ごしください。 

 

 <髙 賛侑君(映画監督、ノンフィクションライター)から> 
  よくぞこれだけの大著を書かれたものだと感嘆しています。私のことにも言及していただき恐縮です。 

 子どもたちとの触れ合いは非常に生き生きとしているだけでなく、重要な問題提起も多く、教育分野の方々には学ぶ点が多々あると思います。 また、国内外の幅広いテーマについて驚くほどの博識に基づいた描写をされていることにも感嘆を禁じ得ません。 

 ただ、濃密な内容の大著であるだけに、逆にどれほどの人が入手し読者になってくれるかという点では課題が残るとも思います。 まず先生と深い関係のある方々にどのように知らせていくか、十分考慮する必要があると思います。 

 可能な限り多くの方が愛読されることを願っています。 この本は、先生の体験記でありながら、教育とはどういうものか、どうあるべきかについて実証的に描いたものとして、多くの教育者たちに読んでいただきたいものです。 

 執筆は大変なご苦労だったと思います。深く敬意を表します。 

いつまでもお元気でいらっしゃってください。 

 私は4月に新しい映画「ワタシタチハニンゲンダ!」完成し、5月から上映を始めています。 

 

   ☆    ☆    ☆

 

 戦後、日本政府は、在日外国人の9割を占めていた韓国・朝鮮人の管理を主目的とする外国人登録法などを制定した。そして後年、他国からの在留者が増えると、全ての外国人に対する法的・制度的な出入国管理政策を強化してきた。

  •  在日コリアン/高校無償化制度から朝鮮学校を排除。幼児教育・保育の無償化制度から外国人学校を排除。
  •  技能実習生/長時間・低賃金労働。暴力・不当解雇・恋愛禁止等の人権侵害事件多発。
  •  難民/難民認定を極端に制限。認定率は諸外国の20〜50%に比べ、日本は1%未満。
  •  入管/被収容者に対する暴言・暴行・劣悪な処遇が常態化。

 高賛侑監督は前作「アイたちの学校」で朝鮮学校差別問題に焦点を当て、国内外で大きな反響を呼んだ。本作品では、全ての在日外国人に対する差別政策の全貌を浮き彫りにする。

 人権侵害に苦しむ外国人が異口同音に訴える。

「私たちは動物ではない。人間だ!」