「おしゃべりcafé」


 今日は「おしゃべりcafé」をした。昨年一回やって、今日が二回目。「アフタヌーンティ」と言ってみたり、「お茶会」と言ったり、「おしゃべりサロン」と称したり、要するにコーヒー豆を挽いて、コーヒーを淹れ、手づくりのケーキを食べ、おしゃべりをし、おしゃべりを聞く、小さな集まり。輪になっておしゃべりするのに適当な7人か8人で、時間は2時間余り。
 半月ほど前からコーラス仲間の、イワオさん、ヒロアキさん、カズトさんに声をかけ、そこへ御近所のヨシコさんにアヤコさんもお誘いし、我が家の工房へ午後1時、みなさんやってきた。
 家内はケーキを試作し、昨日本番用をつくって準備してくれた。数日前から天気予報は、今日がいちばん寒い日になる、寒さの底だと言っていた。おまけに風も強くなるとのことだった。気象条件の悪い日に計画したものだと思いつつ、朝から氷点下2度の工房の薪ストーブに火を入れ、太い薪をぼんぼん燃やして室温を上げた。外気温は朝がマイナス9度で、昼間はマイナス2度、幸いなことに、日が射して穏やかな天気になったから、太陽がガラス越しにさんさんと入り、薪ストーブと両方で室温が20度近くまで上がった。おかげで上着を脱いで、ぽかぽか温かな会になった。
 こういう言いたい放題のおしゃべり会は、話があっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、いっこうにまとまりがつかないし、深まりもない。でもそれでよい。初めは認知症の話題で、みんなそれぞれ身に覚えがあることだから、我先に話が出てくる。近い記憶がぽかんと抜け落ちたり、記憶していてもすっと出てこなかったりして、認知症ではないかと不安にもなる。ぼくも認知症外来で検査してもらおうかと思っていると言うと、イワオさん、自分も記憶がなくなると言いだした。
 アヤコさんが、こんなことあったんだよと言う。
 「この前、吉田さんと会話していて、私の家の庭の木の名前を聞かれて、私は名前が出てこず、知っているのだがあれ何だったかなあと、たいへんたいへんと、その後も考えていて、ああそうかボケだー」
その木はボケの木だった。そして私はボケていた。そのオチにみんな爆笑。
 それからこんな予防法があるよ、と100という数字から7を順に引いていく計算とか、指を動かしていく方法とか、自分のやっている方法が出てきた。
 ヒロアキさんは、故郷の福島の親戚が津波に流された話をした。そこから原発の話になり、日本人はもうこの大災害を自分のこととして考えていない、すでに過去のことになっていると嘆いた。
 居住区の自治会活動の問題も盛んに出た。環境衛生委員、いわゆるリサイクルゴミや廃棄処分のゴミ収集に関する仕事をする委員のなり手がないこと、今後のボランティア活動をどうしたらいいか、地域の子どもたちの育ち、長野の教育が壊れてきた、学校の先生はこれでいいのか、親も子も内向きの生き方になっている、地域社会の自治活動の将来はどうなる、‥‥みんなの頭にうごめいて気になることが、次々出てきてみんなの頭上を飛び回り、遠くへ飛びすぎていった。
 この集まり、会議ではない。だから言いっぱなし。
「楽しかったー」
 はい、おしゃべりを楽しんで、終わり。
 今度は、あのキジの卵を孵した絵描きのSさんに、パラグライダーやらスキーやら登山をしているアウトドア派で、ゴミを出しに来るときはザックを担ぎストックをついてくるOさんを誘うことにしよう。