チロル、緑のなかで自由に学ぶ

 

 

 

何年か前、チロル地方に遊んだ。

乗り継ぎのウイーン空港で待っているとき、巨大なポスターが目に入った。

オーストリアン航空のポスターだ。

英語の文字が山岳写真の上の書かれている。

 

  私たちは、あなたのほほえみのために飛ぶ。

  フリータイムから、フリーダムへ。

  日々の、骨の折れる退屈な仕事を離れて、

  オーストリア航空は、

  あなたと共に、飛ぶ。

 

印象に残るポスターだった。

 

チロルに入った。

輝く太陽と緑。

クロウタドリが教会の塔のてっぺんで、村じゅうに響き渡る声で歌っている。

ホテルのテレビをつけると、天気予報をやっていた。

チロルの民族音楽が、ヨーデルを交えて流れ、

山の映像が次々と現れる。

街には、子どものグループ、若者の群れがあふれ、

彼らは山に向かう。

クラス単位だろう。班単位だろう。

輝く緑の季節、学校を離れ、

フリーダムへ、

森に行こう。

トレッキングに出よう。

歴史博物館に行こう。

 

季節と共に生きる。自然と共に生きる。

オーストリアにはそういう教育が息づいていた。