山の詩

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 そしてまた、山に向かう夜行列車の中で、「山の詩集」を取り出し、次の詩を口ずさむのだ。

 

 

     山巓(さんてん)の気

               堀口大学  

 汚邪(おや)の地を去って

 山巓の気に立たう。

 われらあまりにも

 巷塵の濁悪(しょくあく)に慣れた。

 

 聴け、天の声、

 若い嵐が中空高く歌ひ出す、

 喨々(りょうりょう)と空間を馳せ

 雪にこだまし

 星々に呼びかける。

 

 ああ、平地!

 われらあまりにも平地に棲んで

 しなれたことをしすぎるよ!

 詩(うた)よ

 山巓の気に立たう。

 

 

 私の息子が小学生の娘と二人、燕岳に登ってきた。お盆とあって、登山者は多かったが、そのなかに幼児や小学生もいたし、高齢者もいた。外国人の姿もあった。登山口まで迎えに行くと、燕山荘で一泊して、一夜明けて早朝、雲の切れ目から日の出を拝んだということだった。元気に孫娘は急登を登り、頂上に立った。

 ぼくはもう膝が痛み、山に登れない。