猛暑よ、去れ

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 昨日、 ランが少し食べた。動物病院が出してくれた、病気回復ケアの犬用の缶詰、獣医さんは「おいしいの」と言っていた、それを昨日大スプーンに一杯ほど、ランにやると、数粒のドッグフードは見向きもしなかったのに、やっぱりおいしいのだ、食べた。なかに「飲ませてください」と言われていた薬を一錠入れた。

 干天、37度を超す、昼過ぎから夕方までのたまらない暑さ、ランの身の置き所がない。人間も同じ。

 午前中は白樺の木陰にリードをつなぐ。ランはそよ風の吹く木陰で、土の冷気を腹に感じて寝ている。午後はそこも日が当たるので、家の土間に入れてやる。窓も出入り口も全開し、ランの体の熱をとるために、濡れタオルを背中に広げてやり、軽く扇風機の風が行くように回す。気持ちがいいね。ランはタオルを載せたまま、眠る。

 ランは観念しているようだ。家の中には上がれない。土間で寝る。

 ときどき頭を起こす回数が増えた。相変わらず餌用ボールに入れた水道水を飲まない。だから、外へ連れ出して家の前の農業用の水路に行く。途中でおしっこをした。水路には山からの冷たい水が流れている。脚はよたよたおぼつかないが、水路の際の草の茂みから、前足を水路の水の中に入れ、その体形で水を飲んだ。しばらくして後ろ足も水に入れた。水はランの足首を洗って流れ過ぎていく。ボールにいれた水は飲まず、水路の川の水は飲む、なんで? 山の水は冷たいからか。ミネラルがあるからか。

 今日は立秋、吹く風のなかに秋の気配がする。猛暑よ、去れ。

 朝、五時、自転車で畑に行く。ランと散歩しているときにいつも出会う柴犬を連れたおばさんが来た。おばさんは僕を見ると、

「どうしたの、このごろ会わないよ。」

 いきさつを話した。

「えーっ、えーっ、かわいそうじゃん、かわいそうじゃん。」