犬と暮らすと免疫力がつくとか

 

 今朝はマイナス5度だった。羽毛服を着て行った。鳥たちはどんなに寒くても天気が荒れていても、明るくなれば活動している。生きることは行動すること。行動を止めるときは命の終わる時。
 膝を傷める前までは、烏川渓谷まで長距離を歩いていたけれど、傷めてから歩く距離が激減した。それが膝の関節包を和らげる屈伸運動をするようになってから、少しずつ回復してきて、距離を伸ばしスピードを上げることができている。
 朝日が昇って来るのは7時前、美ヶ原の南の鞍部から日は昇る。冬至までがいちばん夜明けが遅い。
 今朝は、常念の雪岳の先端がモルゲンロートに輝いた。白馬の方は雲に隠れている。もう常念小屋も閉鎖しているだろう。
 歩いていると、タマネギの苗を植えた畑があった。苗が小さい。これは小さいなあ。これでも大きく育つかなあ。ぼくの畑には、近くのハウスからよく生育した苗を150本買ってきて植えた。その後でぼくが種から育てた苗を30本ばかり植えつけた。種から育てたのは、時期を遅らせずに播種したのに、やはり育ちが遅く、小さい苗だった。小さい苗だけれど植えずにおくわけにはいかず、収穫は小玉だろうけれど稔ればいいから植えた。それでもまだ苗床にひょろひょろやせた苗が20本ほど残っている。
 宗ちゃんの家の方へ歩いていった。麦畑がある。麦の芽が小さな緑葉を霜の間から伸ばしている。宗ちゃんも今は中学一年生になっている。中学生になってから顔を見ない。
 左手にランのリードとウンチ袋を持ち、右手でストックをつく。このごろ大股で歩けるようになり、大股になると運動量が増えた。
 サエちゃんが家から飛び出して走ってきた。サエちゃんの友だちが辻のところで待っている。二人で一緒に学校へ行く。
「おはよう。元気だねえ。」
 声をかける。サエちゃん、以前ならランをなでに来るのだが、ニコニコ笑って走っていった。サエちゃんを家の前におばあちゃんが立って見送っている。
「おはようございます。サエちゃん、見かけないうちにもう五年生ですね。」
「はい、もう五年生になりましたよ。早いものですね。」
「すぐに中学生ですね。一人っ子ですか。」
「ええ、一人っ子でね。家で犬がもう一匹増えました。リュウちゃんの次に、小さな子をもう一匹。サエがかわいがっています。リュウちゃんは、もう12歳です。」
「ランと同じですね。家で犬を飼っている人は元気で長生きしているそうですよ。昨日の新聞に書いてありました。ぺろぺろなめてくれたりすると、免疫力が強くなるそうですよ。」
「へえ、そうですか。うんうん、ランちゃん、匂いがするかい。」
 ランがおばあちゃんのズボンに鼻を付けて、リュウちゃんともう一匹の犬の匂いを嗅いでいる。