台風が過ぎ去り、
この地域はリンゴの落下もなく、ほっと安堵したが、
信州のあちこちで被害が出ている。
故郷の大和川や石川は、増水して一部氾濫したようだ。
朝、ランちゃんとの散歩で北の地平線を見ると、
白馬連峰が白い。早くも雪が来た。
白樺の木は、ほとんどの葉が落ちている。
隣のミヨコさんから、
「甘酒作ったから取りにおいで」
と、声がかかった。
小鍋を持ってもらいにいくと、
「今までで、いちばん出来がわるかっただ。
ズクがなくなったでね。」
ミヨコさんの甘酒は、麹をつかった本もの、
時間をかけてつくる。
家に持ち帰り、温めて食べると、甘くておいしい。
出来が悪いなんてことまったくないよ。
奇跡的によみがえったミヨコさんの犬、マミ。
夕方、マミはミヤタさんに連れられて散歩に行った。
「一週間、何も食べなかったんだよ。驚いたねえ。」
ミヨコさんの眼がきょろんと大きく開いた。
ミヤタさんの介護で食べるようになって、
その一口から回復が始まった。
食べるようになれば元気が出る。動けなかったのに、散歩に行きたがるようになった。
冬野菜が育っている。
大根葉を間引いて、ご近所に、「おすそわけ」で持って行った。
トマトの実がまだたくさん木に残っている。
毎日、トマトを食べている。大玉トマトに、ミニトマト、
寒くなってきたから、真っ赤に熟すには時間がかかる。日射も足りない。
それでも赤く色づいたトマトが採れる。
毎日、キャベツと白菜の葉の間を調べて、虫が付いていたら取る。
青虫がたまに見つかる。
黒豆の収穫が近づいている。
半分以上の豆の葉が茶色になって、土に落ちていた。
空中にはったクモの巣のほとんどにクモがいなくなったが、
一匹軒下の巣にコガネグモが残っていた。
脚の動きがゆっくりゆっくり、
ハチが部屋の中に飛び込んでいた。暖を求めて入ってきた。