孫たちとキャンプ


 今年もキャンプに行きたいという。どこかいいところがないかと探した。去年は、近くの烏川渓谷のキャンプ場に行った。小学生と幼稚園の孫たちを含めた二人の息子の家族7人。テントを張るサイトが区割りされていて、テントが林立していた。キャンプ施設は整っていて便利だったが、自然キャンプとしては魅力が少ない。場所のゆとりもなかった。
 今年はもっといいところを見つけたい。ひとまずお盆の烏川キャンプ地の状態を問い合わせてみると、予約超満員で、これ以上受け入れられないという。ここはだめ、他はどうだろう。もっと自然なキャンプ地はないか。あちこち探してみて、隣村の有明山ふところのキャンプ地が、子どもが水遊びできる“せせらぎ”もある。下見に行ったら、川が膨大な巨石と倒木でおおわれていた。流れがあることはあるが、石ごろごろだった。ひと月ほど前の集中豪雨の爪後だ。さらにキャンプ地の周辺のウォーキング道を見ると、ブッシュにおおわれて、手入れも充分ではないく、道を歩く人もいない。しかし他の市町村を探したが、適当な所がない。
 この山の国の、自然豊富な信州で、自然の中で野性的キャンプのできる施設がきわめて少ない。そのことが判明した。なぜ行政はその整備に力を入れないのだろうか、子どもの育ちに必要な自然体験の場づくりが後回しになっているのではないか、とつくづく思う。

 しかたなく豪雨の傷がなまなましく、川は荒れているけれど、隣村のキャンプ地を使わせてもらうことにした。電話で予約し、新しいテントを購入して、8人で出かけた。
 ここは特に管理者もいない。使用したら、キャンプ地に設置されたポストにサイト整備のための協力金を入れることになっている。クマ出没の危険はある。キャンプ地の標高は850メートル、気温は涼しい。アカマツと広葉樹の混交林だ。すでに10数組のテントが張られていた。林の中の適地を探して、ササの下生えのあるところにテントを二張り設営した。テントの横に、以前のキャンパーが使った火床が残っていた。
 林の中だから日射しは抑えられている。クロアゲハが飛んでいく。孫たちと夜の食事の準備をした。ホノちゃんとアーちゃんが、包丁で野菜を切って野菜カレーの準備をした。夕方、日が落ち、
 「火を焚こうか、久しぶりのキャンプファイアを」

 ということになって、セイちゃんたち孫たちと一緒にマツボックリと松葉を集める。河原の流木を加えて、火を燃やすと、火はよく燃えた。
 ぼくは、長く使わなかったハーモニカを持ってきていたから、童謡や山の歌、ドイツ・スイスの民謡を吹いた。
 少し寒くなってきたから長袖を着た。
 テントのなかの夜、子どもたちは寝袋の中に入って寝た。ぼくのテントは地面が斜めになっていたから、寝袋に寝ていたらずりずりと下がっていって、朝目覚めると足がテントからはみ出ていた。
 朝起きて、また火を焚いた。

 16日から20日は、黒沢川で福島の子どもたちを招きキャンプだ。