この夏、福島の子どもたちは安曇野で遊びに遊ぶ


 8月、福島から親子たちがやってくる。原発爆発による放射能汚染のつづく福島から親子を招く保養ステイだ。日数はわずかでも元気が回復する濃縮プログラム。市民団体「安曇野ひかりプロジェクト」の恒例の行事は今年が四回目だ。企画は根拠地「安曇野地球宿」に市民の有志が寄りあって、相談してきた。
 できるかぎり福島の子どもたちに、信州の自然の中で思いきり遊んでもらえるプログラムを準備したい。2012年の夏から実施してきたこのプロジェクトは、これまで安曇野市の行政からは一銭も補助が出ていない。昨年度から、社会福祉協議会の働きかけで共同募金の十万円を補助してもらっている。資金のほとんどは、庶民からの浄財だ。この5月に行なった「どっかーんイベント」では、バザー、フリーマーケット、コンサートなどで市民の応援をいただいた。ぼくは去年と同様、「おじいさんの古本屋」を開いた。本は居住区の人から寄付してもらった子どもの本や自分の持っている蔵書を置いた。去年は、一冊いくらと、値札をつけたが、今年は小さなかごを置いて、「いくらでもいいですから福島の子どもたちにカンパを」と書いて、自由に何冊でも本を持っていってもらうやり方にしたら、たくさんの親子が本を持って行ってくれた。金額は去年の5倍ぐらいはある。
 今年は、みんなで相談して、プログラムをシンプルになものにした。それが「日数はわずかでも元気が回復する濃縮プログラム」。目玉は「自然」と「遊び」。福島ではできなかった「自然のなかでの遊び」に思う存分ひたってもらおう、それこそが子どもたちの放射線に対する免疫力の高まりになる。「元気が回復する濃縮プログラム」の「自然」と「遊び」のベースには、安全な土、安全な水、安全な草、安全な空気、安全な食事が保障されなければならない。松本市の協立病院での甲状腺検査はこれまで病院側の協力でプログラムに入っていたが、5日間の中で占める時間的比重が大きすぎて、それでほぼ一日が費やされてしまうことから、プログラムに入れないことにした。川で遊ぶ、水にもぐる、魚を探す、林で昆虫を見つける、ビオトープの池で観察する、木に登る、草はらで遊ぶ、テントで寝る、星を見る、火を焚く、料理をつくる、ヤギと遊ぶ、木の実をとる、地球宿の畑で芋を掘る‥‥、子どもたちは自分の意志でやりたいこと、やりたい遊びをする。
 自然の中での遊びこそ、知恵の泉、命の源だ。

 スケジュールは次の日程。

15日(土):福島を朝出発、長野県安曇野市へバスで向かう。
夕方安曇野着、温泉入浴後、宿泊施設の「安曇野地球宿」入り。
  オリエンテーション、夕食、宿泊。
16日(日):午前中、地球宿の畑で野菜の収穫。
    その後「どあい自然公園」のキャンプ地へ移動。
  終日たっぷり、野外遊び。川、池、野原、林。ヤギが草を食んでいる。
    夜はおじいさんが沸かしてくれたドラム缶風呂に入り、家族ごとに親子キャンプ。
17日(月):終日、自然公園周辺で川遊びなどの野外遊び。
  夜、子どもたちはキャンプ2日目。
    大人は地球宿でリラクゼーション企画、地元パパ・ママたちとのおしゃべりお茶会。
18日(火):子どもたちは午前中、野外遊び、大人はキャンドルづくりのワークショップ
  午後からは親子合流、夕方からみんなでピザづくり。プログラムの振り返りタイム。
19日(水):朝食後、福島に向けてバスで出発。さようなら、また会おう。お元気で。