今年の虫、小鳥、その他生物


 安曇野に越してきたとき、「蚊がいない」といううれしい発見があった。中古の家の庭は数本の木が植わっていたが、草がほとんど生えていなかった。周囲は水田とタマネギ畑、蚊の発生するところがない。だから蚊がいない。それから11年たって庭は、草も木も盛んに育った。梅雨時の草の勢いは目を見張るほどだ。毎年庭中に有機物を入れてきた結果、ミミズがたくさん住んでいる。それを食べるモグラは我が世の春、そこらじゅうに穴が開いている。その穴にノネズミが住んでいる。それをねらって、冬の間は野良ネコがやってきて待ち伏せをし、そこへキツネが来て、ネコと対決した。ノネズミは冬の間にゴボウを食べ、さらに太ネギの白根を食べ、どちらも地中を移動して、甘い根っこを食べている。
 こういう生物多様性の庭になると、蚊も一枚加わるのは必定。夕方庭で作業していると、ぷーんとやってくる。したがってコウモリ様が工房にお住まいになる。最初来たとき、蚊もいないのに、犬のランにフィラリアの薬を毎月食べさせる必要があるのかと思いつつも、薬を与えてきた。今は薬を与えねば危ない。中村さんの犬は薬を与えなかったために、心臓にフィラリアが寄生して、死んでしまった。もう一つ、以前住んでいた奈良ではゴキブリがいた。それがここではいない。ところが、先日ゴキブリの小さなのを家内が発見したというから、要注意。
 モズが庭をえさ場にしている。去年はそのモズがカッコウのヒナを育てていた。親よりも体の大きな小鳥が巣だってしばらく親のモズから餌をもらっていたから、変だなと観察したら、どうもヒナはカッコウのようで、たぶん托卵だと思う。今年は托卵ではないようだ。巣立って来たヒナは親鳥と同じモズだ。今年もカッコウの鳴き声が遠く近くで聞こえるが、声が少ない。
 年によって差異があるのは、蜂の巣。アシナガバチの巣が去年は少なく、今年も少ないようだ。一昨年はたいへん多く、軒先に10個以上の巣があった。バラの花に寄ってくるカナブンも、去年は多かったが今年はいない。
 ジャガイモ畑をたまにのぞくと草がぼうぼうと生え、草の中にジャガイモが隠れるほどになっていた。それがニジュウヤホシテントウの繁殖に適していたのか、今ジャガイモはほとんど葉を食べられてしまった。それでも数株掘ってみたら、イモは手ごろなのが入っていた。早速ふかしてバターをぬって食べる。うまい。品種は「北灯り」。
 差異で大きかったのは、ヒバリ(雲雀)。ずっとヒバリがいない、ヒバリがいないと、ぼくは嘆いていたが、今年は家の近くのソバ畑に何羽もの姿があった。麦畑とソバ畑が増えているのが幸いしたか。ツバメはやはり全体的に少ない。日本野鳥の会からの通信でも少なくなっているということだ。それも、営巣を嫌がる人間が巣を壊すからという原因があるらしい。
 ラズベリーとブルーベリーがよく生っている。おかげで毎日少しずつ食べられる。ムラサキツユクサヤグルマソウが大繁殖。
 今年は久しぶりにマツバボタンの種をまいた。ぼくの好きなポーチュラカだ。あちこちに定植して、今花を咲かせ始めている。小さな小さな草花がいい。