小学一年生の孫娘が秋休みで兵庫からやってきて、ジイジ、バアバとこの一週間暮らしている。
孫娘の学校には秋休みというオリジナルな制度がある。昔は農村部の学校に、稲刈り期を休みにする農繁期休暇があったが、そういう休暇ではない。一般の小学校では一年を三つの学期制にするが、そこは前期後期の二期制で、その間に秋休みがある。教育上の考え方があってそうしている。
孫の両親は仕事があるから、我が子の秋休みに付き合えない。だから子どもは親から離れてジイジ、バアバのところへやってきた。来るときはパパが送ってきて、帰る時はママが迎えに来る。送り迎えも小旅行だ。
田舎でのんびり生活を味わうのは子どもにとってとてもいい。
一昨日は、ジジババ、孫娘の3人で、木崎湖、中綱湖、青木湖へドライブした。昨日はサツマイモ掘りをした。
今年のサツマイモは干天のせいで、蔓葉を茂らせることが十分できなかった。だからイモが小ぶりだ。鎌で芋づるを切り払い、株の周りの草を鍬で削り取り、芋の周囲に鍬を入れて孫娘に掘りやすくする。土くれのなかに芋の先端の赤色が見えると、
「イモやあ」
孫娘は叫んでいる。孫は小さなスコップを土にさしこむが、力が弱いからイモがなかな掘りだせない。手袋をした手で芋の頭をつかもうとするけれど、うまくつかめない。「エイ」、素手になってイモを引っ張り出す。畝の三分の一ほど掘ったところで、
「クルミのおばさんとこで手を洗わせてもらって、ヤギを見にいこか」
畑の隣りのクルミの木のおばさんのお家には、ヤギとシチメンチョウとウコッケイ、そして普通のニワトリがいる。犬のシロちゃんもいる。背戸の畑を横切ってヤギ小屋に来たら、ヤギが柵から身を乗り出してきた。
「ウワ―、ヤギやあ」
娘が叫んだ。
「大きなヤギやなあ」
ヤギは首を右左にかしげて、こっちを見る。
「長いヒゲやなあ」
声を聞きつけて、おばさんが顔を出した。
「孫娘です。ヤギ見せてください。それからこの子の手を洗わせてください」
おばさんは、うれしそうに、
「こんな大きなお孫さんがいたのかい。どうぞどうぞ」
手を洗ってから、ヤギさんの前で、おばさんとニコニコ、しばらくおしゃべりをした。
「じいちゃんが好きでね。ヤギもシチメンチョウも、最期まで飼ってやると言うでね。最初乳しぼりもしたけど、もうこの頃は子どもも産まないしね、乳しぼりしないね。」
近くに私立の保育園がある。ときどきその子どもたちが散歩に来て、ヤギや鳥を見ていくという。孫娘は犬のシロちゃんに初めて会って、すぐに仲良しになった。
ジジババと暮らして、日ごとに孫娘は解放されて元気になり、何をしてもおしゃべりに花が咲く。スーパーへの買い物、図書館へ行って本とDVDの映画「長靴下のピッピ」を借りてきた。「長靴下のピッピ」には熱中して三回も見た。食後の食器洗いは全部自分がやると言って、バアバのエプロンつけて、
「食器洗い、大好き」
と一生懸命洗っている。
小学一年生のおしゃべり、
学校の話、パパとママの話、妹の話、食べものの話、聞いているだけで楽しい。