カッコウ、ヒバリ、カラス、トビ


 昨日、カッコウの第一声を聞き、今日も遠くで鳴いている。これから7月ごろまでカッコウは鳴き続ける。安曇野では複数のカッコウの鳴くのを聞くことは少ない。個体数が多くないのは、托卵する鳥が少ないということもあるだろう。カッコウは自分で巣を作って、卵を産み、自分で育てることをしない。ウグイス、モズ、ホオジロオオルリオナガの巣に卵を産んで、育ててもらう。その里親になる鳥自体が少ない。
 今日はなんとも最高にさわやかな日だった。朝、山麓線まで上って下りてくるとき、ヒバリの声を聞いた。先日聞いた一羽につづく第二羽。しばらく立ち止まって、声のするほうを見つめる。麦畑の上空に、小さく羽ばたくヒバリを見つけた。
 ヒバリは、翼が小さい。だから羽ばたく回数が多くなる。一秒間に何回羽を動かすことだろう。4、5回は動かしているだろうか。翼の大きな鳥は、羽ばたく回数は少ない。トビは上空でほとんど羽ばたかずに、上昇気流に乗って舞う。そのトビをカラスが追いかけて、つっかかっていく。カラス二羽が、一羽のトビを攻撃しているのはよく見る。トビは、ときどき翼を動かして数回羽ばたくが、ほとんど空をすべりながら、ひらりひらりとカラスを避けて、カラスがあきらめるのを待っている。軽くあしらっているように見えるが、カラスのやつ、うるさいと思っているかもしれない。この春には、カラスが数羽でタカを攻撃していた。
 ヒバリは、翼が小さく、したがって羽ばたく回数を多くしなければならない。それはそれはせわしいほどパタパタパタと翼を振動させて、ほぼ垂直に上昇し、しばらく上空にとどまってさえずりを響かせ、それからヒューと落下するように降りてくる。降下のときは羽ばたかない。もう少し翼が大きければ、空を滑ることができるのに、どうしてこうも翼が小さくなったのか。
 これは巣の場所が関係していると、今朝気づいた。巣は、麦畑や草原などに作る。麦は今、背が高くなり穂がつんつん伸びている。そんなところに巣を作るから、麦や草に翼が当たらないようにして、もぐりこまなければならない。だから翼が小さくなったのではないか。
 それにしても、カラスなどの天敵がいるのに、どうして地面なんかに巣を作るのだろう。昔は丈の高い草地が多かった。だから身を忍ばせれば十分地面の巣で子育てできる環境があったのだ。今は、巣作りの条件はきびしい。

 家に帰って新聞を見る。
 さても人間界は、対立対立対立だ。ばかな人間は、奪うこと、対立すること、暴力を振るうことに血眼になり、戦争の準備に余念がない。どうしようもない。
 戦争の準備をすれば、戦争がやってくる。それが分からないらしい。戦争が始まれば後ろへ下がれなくなることが分からないらしい。