常念岳に登ってきた


12日、息子家族が神戸から到着し、それから息子と二人で常念に登ってきた。一の沢登山口からの登山、13日の午後、疲労困憊で帰ってきた。体力は往年の何分の一かになっていることを痛感した。
 一の沢から常念小屋までは距離5.7キロ。午前11時15分から歩き始めた。

 コースは水場が多く、水に不自由することはなかった。最後の登り、胸突き八丁には脚が進まなくなった。シャツは汗でぬれそぼち、高度があがるにつれて、体温が奪われ寒くなった。
 山小屋についたのは午後5時15分。小屋の向こう、西の空に槍ヶ岳のシルエットが見えた。

 山小屋は比較的すいていた。到着が遅かったので屋根裏部屋が寝る場所になった。食後、暗くなってから外に出た。稜線には夜空を眺める人たちがいた。東の空に稲妻が走る。上弦に近い月が北穂高岳の上空にあり、その月明かりだけで、人影が出来るのに気づいた。今晩は流星群が見られるということを聞き、稜線に息子と寝転んで空を眺める。流れ星は二つ見えた。冷えてきたので、小屋に戻り寝ることにした。

 午前2時半、周りの登山者が何名か、ごそごそ支度をして出て行った。こんな時間にもう出発するらしい。北へ縦走するのだろう。モルゲンロートを見ようと、5時前に起きて稜線に立つ。御来光の前だった。日が射しだすと槍ヶ岳から穂高の連峰が輝きだした。

食事は早い人から順番で、ぼくらは午前5時45分から。食事が済んでから頂上に向かった。久しぶりの稜線の感覚を味わう。頂上からは、穂高連峰が西にそびえ、涸沢の大雪渓が白い。涸沢小屋の赤い屋根も見える。目を北の方角にずらしていくと、槍ヶ岳の北鎌尾根の右上あたりに薬師岳、そして剣岳らしき山影も認められた。頂上直下で、ラジウスで火を起こしコーヒーをいれている二人連れがいた。いい香りが漂う。こういう山旅もいいなあと思う。岩石ごろごろの山肌、歩くのも疲れる。

下りは、距離が長く感じられた。実際に歩いた時間は登りよりも2時間短い。しかし、長い下りだと何度も思う。岩、木の根、段差に気をつけながら下る。何度かすべって転びそうになった。こんなに長かったかなあと思うのはなぜだろう。